- 2026/11/05 06:50 掲載
なぜニトリの家電はあんなに安い?ドラム式も冷蔵庫も“10万円以下”…驚きのカラクリ(4/4)
連載:家電で読むメーカー戦略図鑑
「家電単体を売るだけでは未来はない」
ニトリの家電は現在、700~800品目を扱っているという。それを約80人規模で回しているというのは、かなり高効率と言えよう。その背景にあるのが、ファブレスであること、そしてホームファッション分野で培ってきたサプライヤーとの協業ノウハウだ。家電専業メーカーのように自社工場を持つのではなく、多数の協力工場やサプライヤーと連携しながら、必要なところだけ深く入り込むことにその秘密がある。
奥田氏は、「こうした短納期・低コストでの共同開発力は、ホームファッション分野で培ってきたニトリの大きな強みです」と語る。
海外サプライヤーは150~200社規模に上り、トレードショーなどを通じて新規開拓も行っている。商品アイデアも、バイヤーやマーチャンダイザー、エンジニア、サプライヤーの提案が混ざり合いながら生まれているという。
今後のニトリ家電を考える上で、最も重要なキーワードは「家電を家電として売らない」ことかもしれない。
奥田氏は、「家電を単体の商品として売るだけでは大きな未来はない」と語る。これから必要なのは、家具の中に家電要素が入り込んだり、家具そのものが家電に近づいたりする世界観だ。ミネベアミツミと共同開発した「センサー付きAI電動ベッドフレーム」のような商品は、その入り口と言える。
スマートホームへの考え方も、派手な未来像とは少し異なる。複雑なAIサービスや、無理にニーズを作るIoTではなく、不便を自然に解消する仕組みとしてのIoTを重視しているのが印象的だった。たとえば照明やカーテン、ホットカーペットなど、既存の家電や設備をシンプルにつなぎ、オンオフを賢く制御するだけでも暮らしは変わる。ニトリはそこに現実的な可能性を見ている。
また、家具と家電の融合という点では、いわゆる「ステルス家電」の方向性にも関心を示した。引き出しを開けたら冷蔵庫になっているテーブルとか、生活空間の中で過度に主張しないマッサージチェア、といった発想だ。
「機能と価格とのバランスなどでなかなか難しいのですが、そういった取り組みも今後どんどん進めていきたいと考えています」(奥田氏)
ニトリが狙う「次の日本の当たり前」とは
ニトリはこれまで「常識を変える家電」を掲げてきたが、奥田氏自身は、次のフェーズでは少し見方が変わってきたと話す。「肩に力を入れて『常識を変える』というより、『次の日本の当たり前』を作ろうと考えています。それが今提案している冷蔵庫やドラム式洗濯乾燥機だと思っています」(奥田氏)
新商品の「壁掛けハンズフリードライヤー」などもその1つだ。
「見た目は変わっているように思えるかもしれませんが、使ってみると使いやすいですし、あれが次のドライヤーの当たり前になるかもしれない。そういった商品をどんどん作っていきたいですね」(奥田氏)
「家具チェーンが家電を売り始めた」という見方だけでは、もはや実態は捉えきれない。ニトリが今挑んでいるのは、家電売り場の拡張ではなく、暮らしそのものの再設計だろう。
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