- 2026/11/05 06:50 掲載
なぜニトリの家電はあんなに安い?ドラム式も冷蔵庫も“10万円以下”…驚きのカラクリ(3/4)
連載:家電で読むメーカー戦略図鑑
安くても品質は大丈夫? ニトリが認めた「最大の課題」
低価格家電に対しては、どうしても「安いけれど品質は大丈夫か」という不安がつきまとう。奥田氏も、ここは現在の最大の課題だと率直に認める。その上で、ニトリでは設計基準をかなり厳しく設定していると奥田氏は説明した。「999円の商品も、10万円の商品も、基本的な設計基準は変わりません。基準を満たせず発売に至らなかった商品も少なくありません。むしろやりすぎではないかというくらいの厳しさで臨んでいます」(奥田氏)
一方で、品質に対する信頼は基準の厳しさだけでは生まれない。アフターサービスや修理対応も重要となる。ここはまだ発展途上だとしつつも、売り場スタッフ、コールセンター、品質部門が毎週密に連携し、クレームや不具合情報を共有しているという。
「たとえば洗濯機では、ホースの取り回しひとつで脱水不良が起こることがあります。これは製品不良ではなく設置の問題でもあるのですが、適切に説明されなければお客さまの不満になります。そこで設置現場への情報共有や、案内内容の改善を進めた結果、この1年でアフタークレームは大きく減りました」(奥田氏)
アフターサポートの強化では、AI活用も進める。元々はメーカー出身のベテラン技術者が店舗からの問い合わせに都度対応していたものの、知見が個人に集約され、全国展開するには限界があった。そこで過去の対応履歴を整理し、問い合わせごとの対処法をAIに学習させ、誰でも一定水準の回答ができる仕組みを整えた。
「以前に一部の地区の店舗に限定して、家電の開発者が店舗からの問い合わせに直接答える運用実験をしたところ、顧客満足の面で大きな効果がありました。その成果を全国に広げるための手段としてAIを取り入れた形です」(奥田氏)
テレビもオーディオも…ニトリが家電に仕掛ける新常識
大型家電の中でも、テレビは特に難易度が高いカテゴリーとなる。ニトリはまず壁掛けテレビ提案を起点に大型テレビへ参入し、その後、自社のこだわりを反映した55V型のミニLEDテレビを7万9,900円で投入した。大画面・高画質へのニーズは確かにあり、反響も大きい一方で、部材調達の難しさなど課題も抱えている。それでも奥田氏は、日本ではテレビの大型化が海外ほど進んでいないことに注目する。
「欧米や韓国、中国などと比べても、日本はテレビの大型化が全然進んでいません。価格の問題に加えて置き場所の問題も大きいと思うので、そこをなんとか打破していきたいと考え、壁掛けテレビの提案をしました。私の持論としては、冷蔵庫とテレビは場所さえあれば大きいに越したことはないと思います」(奥田氏)
一方、小型家電やオーディオでも、ニトリらしい方向性が見えている。ガジェットやオーディオは、単品ではなくシリーズ全体でテイストを統一して立ち上げた。ベージュやダークグレーを軸に、家具・インテリアと調和するデザインを徹底し、ロゴも極力目立たせないようにしている。従来の家電メーカーのように強い自己主張を前面に出すのではなく、空間に自然に溶け込むことを優先しているようだ。
オーディオではグローバル展開しているサプライヤーと共同開発しつつ、日本向けに音作りをしている。
「今までもニトリはイヤホンの販売もしていたのですが、お客さまに満足いただける独自の音作りまではできていませんでした。そこで音質設計ができる社内のエンジニアがゼロから音作りを見直すことで、『この値段でもすごい音が出る』という製品に仕上げられました」(奥田氏)
2026年9月に行われた新商品展示会で、ニトリは新たに「life+ audio(ライフプラスオーディオ)」というブランドを立ち上げた。
「我々が開発するオーディオは、マニア向けのいわゆるピュアオーディオのような方向性ではありません。暮らしの中に当たり前にあるオーディオを作ろうという狙いで『life+ audio』という名前をつけました」(奥田氏)
白物家電・調理・空調機器のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR