- 2026/11/05 06:50 掲載
なぜニトリの家電はあんなに安い?ドラム式も冷蔵庫も“10万円以下”…驚きのカラクリ(2/4)
連載:家電で読むメーカー戦略図鑑
もう1つは、過度な同質競争により発売から1年も経つと価格が半分くらいになってしまう家電業界の仕組みも、我々が持つ製造物流IT小売業で『おねだん以上。』を実現する仕組みがあれば変えることができる。そこにメリットや価値があるのではないかと考えて、家電事業をよりしっかりとやっていくことになりました」(奥田氏)
ニトリの家電はシンプルなデザインが多くて価格も安いことから、機能を徹底的に絞り込んで作られていると思われるかもしれない。
しかし奥田氏は、「市場の相場感を踏まえて価格を設定しているものの、他社がこの価格だから同じ価格帯にするといった売り方はしていません」と語る。
「我々は『常識を変えるものを作ろう』と考えてものづくりをしています。たとえばドラム式洗濯機なら30万円、ロボット掃除機なら10万円といったところが一般的ですよね。しかし、価格の高さが原因でまだ普及していないこれらの家電を世の中の沢山の人々に使ってもらうようにするためには、この価格じゃないとダメだよねというのを決めて、そこに向けてものづくりをしています。ですが、価格に合わせて機能を削るということは基本的にしていません。その価格でも絶対に必要な基本性能を備えつつ、不要な機能を探して外していくという作り方をしています」(奥田氏)
「社内でも無理」と言われた冷蔵庫、実現できた意外な理由
ニトリ家電の特徴を象徴するのが、物流と設置まで一体で考える商品開発である。10万円を切るドラム式洗濯乾燥機は、価格だけでなく本体が小さいことも高く評価された。このコンパクトさは使い勝手だけでなく、配送コストの低減にも効いている。一般的なメーカーでは配送は別の会社が担うため、運送費が下がってもその恩恵が商品価格に直結しにくい一方、ニトリではグループ内で配送体制を持つため、コスト削減分を価格に反映させて消費者に還元できるというわけだ。
同様に、幅75cmで410Lの大容量を実現した4ドア冷凍冷蔵庫「TL2G01」もヒットした。一般的な冷蔵庫は幅60cmや65cm程度が中心で、75cmの横幅は設置するスペースがない家も多い。しかし海外メーカー製の冷蔵庫のようなフォルムと奥行きの浅さやシンプルなデザインで人気となった。
「幅75cmともなると搬入が難しいこともあり、当初は社内でも商品化は無理だの声も多くありました。そこで、配送や設置を行うグループ物流会社のホームロジスティクスのメンバーとも話をしながら家の間取り図に同じ縮尺の冷蔵庫の模型を作り、こうやれば入るから大丈夫だと検証し、開発を進めました」(奥田氏)
現場からのフィードバックも商品展開に生かしているという。
「商品を作る前には一定の店舗数でテストマーケティングを行うのですが、そこで店舗のスタッフから『もっとこう伝えたほうが売れる』といった声をもらいます。配送も自社で行うため、『売り場でこの情報を入れておいてもらえればトラブルを防げる』といった声も商品に入れるようにしています」(奥田氏) 【次ページ】安くても品質は大丈夫? ニトリが認めた「最大の課題」
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