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  • 2023/06/21 掲載

投資の神・バフェット氏が愛する「アップル株」、投資の半分を注ぐ絶大評価の真相とは

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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バークシャー・ハサウェイを率いる「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏。4月に来日して日本株へのさらなる投資を表明したことで、日本国内では大きな話題を呼んだ。そんなバフェット氏は、アップルをこよなく愛していることで有名だ。自身のスマートフォンがiPhoneであり、株価のチェックをiPadで行う上、バークシャー・ハサウェイの株式投資の半分近くをアップル株が占めている。バフェット氏は、アップルの何を大きく評価しているのだろうか。本稿では「バフェット視点」で、投資先としてのアップルを解説する。

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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バフェット氏(バークシャー・ハサウェイ)が投資している株式ポートフォリオの上位5銘柄。アップル株がほぼ半分を占めている
stockcircleより編集部作成)

アップルをこよなく“愛”するバフェット氏

 2023年4月に来日したバフェット氏が、日本の商社への投資を継続的に行うとともに、商社以外の日本株への投資に関心を寄せていることも表明した。このことは、日本国内でも大きな話題を呼んだ。

 バフェット氏は御年92歳と高齢ながらも、ますます元気な姿を見せているが、実はテックに親しんでいる。2020年4月の米経済専門局CNBCのインタビューで、「以前は、韓国サムスン電子が2010年に発売したガラケー、SCH-U320を20ドル(約2,800円)で購入して使っていたが、iPhone 11に乗り換えたんだ」と語っている。

 その後、バフェット氏がiPhone 11から最新機種にアップグレードしたかは定かでないが、2023年5月のバークシャー・ハサウェイ年次株主総会でこう語っている。

私はiPhoneのことは何もわからないが、消費者行動は理解している。ユーザーはたかだかスマホのために、アップルに対して(高級機種で)1,500ドル(約20.8万円)も払っている。

そうした(品質にうるさい)消費者が2台目の自家用車購入のために3万5,000ドル(約487万円)を出すわけだ。そして、自動車とiPhoneのどちらかをあきらめろと言われれば、彼らは自動車をあきらめるだろう。iPhoneは秀逸な製品だ。

(バークシャー・ハサウェイは)アップルの発行済み株式の100%を買うことはできないが、現在のようにその5.6%を保有できるだけでも、とてもとてもハッピー(very, very happy)だ。株価がほんの0.1%上昇するだけで、大きな儲けが出るからだ。

 つまりバフェット氏は、裕福な「アップル信者」がiPhoneを買い続け、そのエコシステムを去らないという消費者行動と、アップル株のパフォーマンスに関して、強い確信を持っているということである。

 事実、アップルの時価総額は6月上旬時点で2兆8,000億ドル超(約390.1兆円超)と、文句なしの世界一であり、2022年1月に記録した2兆9,000億ドル(約404兆円)を超える勢いだ。市場では、同社が世界初の時価総額3兆ドル(約418兆円)突破を果たすとの期待が高まっている。

アップル株の保有価値はなんと“22兆円”超え

 アップル株が2023年に入って35%ほど上昇する中、バークシャー・ハサウェイは5月下旬にアップル株の保有を、発行済み株式全体の5.6%から5.8%へと引き上げた。2016年にアップル株を最初に購入して以来、着実に積み増し、6月5日時点の保有価値は計1620億ドル(約22.5兆円)にも上り、同社が投資している株式ポートフォリオのなんと48.8%を占めている。

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バフェット氏がアップルをこよなく愛する理由とは
(Photo:maodoltee / Shutterstock.com、Prachaya Roekdeethaweesab/Shutterstock.com)

 細かいレベルの投資判断は、テックを得意分野とするバフェット氏の後継者が行っている。だが、バフェット氏自身の強い意向が働いていることは間違いない。

 さらに重要なのは、アマゾンやメタがどれだけイケイケ局面であっても、それらの株式にバフェット氏が一切手を出さなかったことだ。現在のアマゾンやメタを見れば、業績は回復基調にあるものの、過去の無理な事業拡大や過剰な雇用拡大といった経営のムダを指摘され、コストカットに邁進している状況だ。

 バフェット氏はテクノロジーを必ずしもよく理解していないにもかかわらず、当時から冷徹にテック企業の「勝ち組」「負け組」を見抜いていたのだ。そして、消費者行動についても正しく予測していた。

 では、投資先としてのアップルは、他のテック大手と比較して具体的に何が違うのだろうか。 【次ページ】「アップル絶大評価」のワケ、アマゾンらと何が違う?

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