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- 2024/03/19 掲載
扶養内パートは消滅?2024年10月「年収106万円の壁」が深刻化する理由
社会保険の加入対象を広げる議論が開始
「被用者保険」とは、雇用される労働者が加入する医療保険、厚生年金、介護保険、雇用保険、労災保険などを指す。社会保険と考えて良い。 懇談会で議論の対象となる被用者保険は、主に厚生年金と会社の健康保険であり、2025年の年金法改正を見据えているようだ。
これまでどのようにパート・アルバイトが社会保険の加入対象になってきたのか。
2016年以前は、週の労働時間および月の労働日数が正規従業員の4分の3以上あるパート・アルバイトが社会保険の加入対象だった。
しかし、2016年10月から、従業員数が501人以上の会社に勤めるパート・アルバイトも加入対象になった。※週の所定労働時間が20時間以上などいくつかの条件はある。
さらに2022年10月には、従業員数101人以上の会社のパート・アルバイトまで拡大した。そして2024年10月には、従業員数51人以上の会社にまで拡大するという。これによって小規模の会社、または週の労働時間が20時間未満の人や学生のパート・アルバイトを除き、多くの会社のパート・アルバイトが社会保険の加入対象になる。
また、2028年中には雇用保険の適用も拡大する。厚生年金や健康保険と同様に、これまでは週20時間以上の所定労働時間の人が加入対象となっていたが、今後は週10時間以上の所定労働時間から加入対象となるという。
このように加入対象の範囲は拡大し、保険料率は基本的に上昇傾向にある。そのような中、さらに適用対象の拡大が検討されているのだ。
政府は「保障の充実」を語るが…
では、政府やこの懇談会が目指す被用者保険の未来像や、現状の課題について、2月9日に行われた武見 敬三厚生労働大臣の会見の内容を見てみよう。この会見では、記者が次期年金制度改正の論点として「企業規模要件の撤廃」と「非適用業種の解消」を挙げた上で、大臣に懇談会設置の狙いと厚生年金適用拡大の意義について質問した。
記者の質問に対し武見大臣は、厚生年金を含めた被用者保険の適用拡大の意義として、「被用者にふさわしい保障の充実」と「働き方や雇用の選択をゆがめない制度の構築」を挙げた。
これらも重要な検討課題の1つとした上で、質問で記者が挙げた「企業規模要件の撤廃」と「非適用業種の解消」を論点であるとした。懇談会設置の狙いとしては「関連分野の有識者や労働者・使用者団体といったさまざまな方から意見をお聞きし、ていねいな議論を進めていくため」と述べた。 【次ページ】社会保険で最も大きな課題は「年収の壁」
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