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- 2025/10/15 掲載
“企業側ドタキャン禁止”のはずが…スポットワーカー絶望の「新ルールの欠点」とは
50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。
企業側のスポットワーク直前キャンセル原則不可に
タイミーをはじめとしたスポットワーク(スキマバイト)に大きな流れの変化が起きている。これまで可能だった、企業側の直前のキャンセルが原則不可となった。これは、厚生労働省が7月にスポットワークの注意点をまとめたリーフレットを公開したことがきっかけとなったものだ。
これでスポットワーカーの保護は大幅に前進し、企業側の“ドタキャン”には厳しい対応がされるようになるはずだが、このまま働き手にも企業にも明るい未来が開けるのだろうか。
筆者はいくつか懸念があると考えており、今回はそうした今後のスポットワークサービスの懸念を解説したい。
スポットワーカー保護に動いた厚労省
まずは、今回スポットワークサービス各社がルールを見直すに至った背景を解説する。スポットワークは、多くの場合アプリ活用が前提となる新しい働き方であるため、さまざまな課題が挙がることが多いが、今回、問題となったのは「仕事のキャンセルについて、働き手に厳しく、企業に緩い」ルールである。
もともと、働き手が直前で仕事をキャンセルした場合、ペナルティーポイントが課せられ、それが一定以上となると一時的にサービスが使えなくなるなどといったルールがあった。
一方で、これまで企業側については、サービス会社から「直前にキャンセルをせず、もしもキャンセルする場合は休業手当を支払うように」と要請されていたと言う。しかし、企業側が直前にキャンセルをしてもペナルティーはなく、実態としては企業側から直前のキャンセルが発生し、働き手に対して給与の補償がされないことが多々あったという。
その根拠には、スポットワークサービスの一部が労働契約成立のタイミングを、働き手が当日勤務地に到着した勤務開始直前としていたことが挙げられる。スマートフォンで二次元コードを読み取ってチェックインした時点が労働契約成立となり、それ以前であれば企業のキャンセルができた。
厚労省のリーフレット『「知らない」では済まされない「スポットワーク」の労務管理』では、この労働契約成立のタイミングから釘を刺している。
面接がないまま勤務に向かうスポットワークでは、働き手が求人に応募した時点を労働契約成立とし、契約成立以降の企業側のキャンセルが労働基準法に違反する可能性を示した。
厚労省は、労働契約成立後であるスポットワーク直前の企業からのキャンセルには合理的な理由が必要で、働き手が不利にならないようにする必要があるとしている。 【次ページ】ルール改定後も要注意?企業側に発生する強力な権利とは
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