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- 2022/07/21 掲載
【世界調査レポート】NFT市場規模の今後を予測、5年で4倍の約2兆円に急拡大できるワケ
NFT市場は「年35.0%」「5年後は4倍」に成長
NFT(非代替性トークン)は一意のアイテムの所有権を表すために使用されるトークンです。芸術品や収集品をトークン化するのに有用で、不動産にも有用です。一度に1人しか正式な所有者を持つことができず、イーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンによって保護されています。このため、所有権の記録を変更したり、新しいNFTをコピー&ペーストして複製したりすることはできません。
またNFTはブロックチェーン上に存在し、固有の識別コードとメタデータを持つ一意の暗号資産であり、複製できません。この点では、等価で取引や交換できる暗号通貨などの代替可能なトークンとは異なっています。
最大の利点はアートワークのような特定利用のみに限定されず、一瞬を切り取った動画・画像、ゲーム、収集品、トレーディングカード、音楽、ミーム、eチケット、ウォレット、ドメイン名、さらにはメタバース上の財産など、あらゆる形態のデジタル資産をトークン化・商品化できる点です。たとえば、人気のある音楽祭のようなイベント業界で応用すれば、NFTはeチケットとして機能して透明性を確保し、後に思い出の品として残すこともできます。
マーケッツアンドマーケッツ社によると、NFT市場は2022年の30億5,600万米ドル(約4,196億円)から2027年までには136億7,900万米ドル(約1兆8,782億円)と、4.4倍超の規模にまで成長すると予測しており、予測期間中のCAGR(年平均成長率)は35.0%の見込みです。
サービス別シェアで「売買プラットフォーム」が過半数
市場は提供サービスにより、事業戦略策定、NFT作成・管理、NFTプラットフォーム‐マーケットプレイスの3部門に分類されます。この中では、NFTプラットフォーム-マーケットプレイス部門が最大のシェアを占めています(図1)。NFTマーケットプレイスとは、クリエイターがデジタル資産を販売するために選択するデジタルプラットフォームです。2022年はNFTプラットフォーム-マーケットプレイス部門が約55.4%の最大シェアを占め、予測期間中もその地位を維持すると予想されています。
プラットフォームの選択基準は使用するブロックチェーンの種類・組織が対応する標準規格やフォーマット、アクセス性、NFT作成価格によって決まります。NFTを表現する最初の標準はイーサリアムブロックチェーン ERC-721でした。
NFT市場の大半はイーサリアムのブロックチェーンを使用していますが、市場を独占しているわけではありません。NFTマーケットプレイスにはイーサリアム以外に、Cosmos、Polkado、Binance Smart Chainなどのブロックチェーンが使用されています。
現在、NFTマーケットプレイスの大部分が暗号空間でキュレート(情報を収集しまとめる)しています。非キュレーションプラットフォームは誰もが無料でアクセスできるため、キュレーションプラットフォームに代わる有力な選択肢として浮上しています。
非キュレーションプラットフォームの1つにOpenSeaがあります。ここでは、ユーザーがNFTの作成と取引、NFTに関するデータの表示、統計の確認を行うことができます。2017年に作成されたOpenSeaは、人気のある多くのブロックチェーンゲームからのすべての暗号アートコレクションと膨大な数のアイテムを保持しています。
さまざまな組織が成長・拡大するために、NFTの領域へ足を踏み入れています。たとえば、米国の暗号交換プラットフォームであるコインベース・グローバル社が最近、NFTマーケットプレイスを立ち上げました。このような開発はNFT市場の成長に貢献しています。
ユーザー別では「メディア・エンタメ」がシェアを圧倒
NFT市場はエンドユーザーにより、メディア&エンターテインメント、オンラインゲーム&関連収集品、その他のエンドユーザーの3部門に分類されます。エンドユーザー別では、メディア&エンターテイメント部門が最大のシェアを占めると予想されています(図2)。メディア&エンターテインメント業界では、NFTが映画の制作・配給の方法を変革し、その過程で一辺倒な業界を民主化する可能性を秘めています。
たとえばNFTコミュニティであるArabian Camelsは世界のNFTの未来を示すために、5,000万米ドルのハリウッド映画「Antara」を制作しています。NFTのコンセプトを映画に取り入れ、映画の所有権の一部を視聴者に分配することで、NFTの助けを借りながら必要な資金を調達しています。このため、映画のプロデューサーは予算の制約を受けることなく制作できます。これは特に、映画業界でほとんど目にすることのない新進の映画製作者やアーティストにとって非常に有効な手段です。
NFTにより、何百万人ものフォロワーを持つ大作映画やエリート映画フランチャイズが、メタバース上でファンコミュニティを確固たるものにする、またとない機会を得るでしょう。事実、ウォルト・ディズニー社やライオンズゲート社などの複数の制作会社がすでにNFTの市場開拓に取り組んでいます。
最近、ライオンズゲート社はNFTプラットフォームのオートグラフ社と戦略的パートナーシップを結び、米人気映画のジョン・ウィックやハンガー・ゲーム、米人気ドラマのマッドメンなどの巨大フランチャイズ向けNFTを作成しました。
著名人もファンのためにNFTコレクション商品を作ることで、NFTの機会を最大限に活用することができます。最近では、歌手のエミネムやジャスティン・ビーバー、俳優のスヌープ・ドッグ、司会者のジミー・ファロンなど、多くの著名人がこのトレンドを取り入れています。
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