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  • 2022/07/02 掲載

メタバースとは何か?マンガでわかりやすく解説、注目理由3つとできること・できないこと

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オンラインの空間に自分の分身となるキャラクター(=アバター)を投影して交流や経済活動を行う――。映画『レディ・プレイヤー1』『竜とそばかすの姫』などで描かれた「メタバース」の世界観が、現実のものになろうとしている。フェイスブックも社名をメタ(正式名称はMeta Platforms(メタプラットフォームズ))に変えて、巨額の投資を発表している。エンタメのみならずビジネスへの利用も進むメタバースについて、その概要や今注目されている理由など、知っておくべき基本知識を解説する。

執筆:フリーライター 佐藤 健

執筆:フリーライター 佐藤 健

IT開発企業に10年間勤務するかたわら、フリーライターを兼業する。ITやビジネス関連の記事を手がける。



メタバースとは何か?

 メタバース(metaverse)とは、英語のmeta(超越した)とuniverse(宇宙・世界)を合成した造語で、インターネット上に構築された仮想の三次元空間、いわゆるサイバー空間のこと。

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メタバースは仮想空間を意味する
(Photo/Getty Images)

 この言葉が初めて出たのは1992年に発表されたSF小説『スノウ・クラッシュ』。小説内で登場する、仮想空間サービスの名前が「メタバース」だった。『スノウ・クラッシュ』は大ヒットし、「メタバース」という言葉は、技術の発達により生み出された仮想空間サービス全般を指す言葉として用いられるようになった。

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メタバースをマンガ動画でもわかりやすく解説する(マンガ動画はこの画像の上のほうにあります)

 メタバースの利用者は、アバター(avatar)と呼ばれる分身を操作して空間を移動、ほかの参加者とアバターを通じて交流する。すでに世に広まった例では、『あつまれ どうぶつの森』や『マインクラフト』、『フォートナイト』などのゲームソフトがその一例と言えるだろう。

 またメタバースの先駆けとして、米リンデンラボ社が2003年に開始した「Second Life(セカンドライフ)」をご存じの方もいるかもしれない。日本では、2007年ごろからブームが起こり、2008年ごろにピークを迎えた仮想世界サービスだ。

 アバターを操作してユーザー同士で交流するだけでなく、デジタルコンテンツをメタバース内で作成、および売買して経済活動を行える点が大きな特徴だ。Second Lifeの中で流通する通貨は、リンデンドル(L$)で、米ドルなど現実の通貨への換金が認められている。リンデンドルの購入はクレジットカードで支払い、リンデンドルからの日本円への交換は、米ドルへいったん換金した後、ペイパルや銀行振替を通じて行う。仮想世界で経済活動を行える点は日本でも大きく注目されて「稼ぎたい」と考える人が多く参加したが、やがてブームは去ってあまり語られることはなくなり現在に至る。

 だが、2021年になってこのメタバースが、一大ムーブメントとなって再燃している。


メタバースが今注目を集める3つの理由

 なぜ再びメタバースなのだろうか。その理由は、「VRをはじめとする技術の発展」「コロナ禍による特殊事情」「NFTによる経済活動の可能性」の3点にある。

・VRなどの新技術の活用によるコミュニケーション活性化
 1つ目の理由は、VR(仮想現実)技術が発達して利用しやすくなり、コミュニケーションがやりやすくなった点だ。

 メタバースサービスの代表格であるメタ(旧フェイスブック)の「Horizon Workrooms」(後述)では、メタバースをVRサービスとして提供している。

 VR技術を利用するには、端末の高性能化とネットワークの高速化・大容量化が欠かせない。近年、これらの技術は発達しており、VRサービスを提供する下地は整っている。

 VRでは専用の端末(ゴーグル)を使えば、仮想世界の中にいるように感じられる視覚情報を得ることが可能だ。アバターの操作は、コントローラーだけでなく、顔の表情や身振り・手振りでもできるようになり、より自然なコミュニケーションも可能になった。

 ほかにもAIやデジタルツイン関連の新技術の進展により、デジタル空間を構築しやすくなったことも挙げられるだろう。


・コロナ禍による仮想空間の利用増加
 2つ目の理由は、コロナ禍によって自宅待機を余儀なくされたことにより、仮想空間の利用が増加した点にある。COVID-19の影響で、現実世界でのイベントは厳しく規制され、ほとんどは中止に追い込まれた。厳しい制限がつけられ、満足できるイベントは開催できない状態が続いている。

 このような中で、メタバースはにわかに注目されるようになった。前述したVR技術の発達によって、より現実に近いバーチャルイベントを開催できるような環境が整ってきたことも後押ししている。

 たとえばKDDIが取り組む「VIRTUAL CITY」では、2021年のハロウィンイベントとして「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2021 ~ FUN FOR GOOD ~」が開催された。スマートフォンのアプリや、商業施設に設置したスキャナーなどを使って自分のオリジナルアバターを作り、メタバースで開催されるハロウィンイベントを楽しんだ。


・NFTを利用した経済活動の可能性
 3つ目の理由は、メタバース内での経済活動を補完し得る技術の発達、具体的にはNFTの台頭だ。NFT(non-fungible token)とは、「非代替性トークン」のことで、デジタルデータの唯一性を確保するデジタルデータの一種だ。

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 メタバースとNFTを組み合わせることで、従来よりも大規模でかつ多様性に富んだ経済活動が可能になるのではないかと期待されている。ただ、経済活動が発展するには、新しいコンテンツが多く生み出される土壌作りが不可欠だ。そのためには、より多くの人が気軽に参入でき、巨大プラットフォームとして成長する必要がある。

 事実、かつてのSecond Lifeは、アクティブなユーザーが少なくなり、経済規模も縮退した。メタバースの発展は、次頁で紹介するようなサービス群が多くのユーザーを巻き込むことができるかにかかっていると言える。

【次ページ】メタ(フェイスブック)の「Horizon Workrooms」は何が違う?

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