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  • 2017/12/22

ブロックチェーンの仕組みをわかりやすく解説 P2P、ハッシュ、ノードも図解

フロスト&サリバン連載 「TechVision:世界を変革するトップ50テクノロジー」

ビットコインがたびたび最高値を更新し、仮想通貨取引が一気に熱を帯びている。もはや仮想通貨はフィンテック企業のみならず大手金融機関も対応を余儀なくされている状態だ。仮想通貨で使用されているキーテクノロジー「ブロックチェーン」というと、何となく聞いたことがあるという人は多いだろうが、しっかり理解しているかと聞かれると、うなづきにくいのでは。そこで今回は、ブロックチェーンの誕生からその仕組み、ブロックチェーンに関連するスタートアップ企業の状況、金融業界にとどまらない各業界へのインパクトなどについて、フロスト&サリバン ジャパン 成長戦略コンサルティングマネージャの伊藤 祐氏が解説する。

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐、陳 宇鴻(執筆アシスタント)

フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐、陳 宇鴻(執筆アシスタント)

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ビットコインを支えるテクノロジーとして誕生した「ブロックチェーン」は、その影響範囲を金融以外の領域にも拡大している
(© wladimir1804 – Fotolia)



ブロックチェーンの誕生、その特徴と課題

 ブロックチェーンのアイデアは、2008年にSatoshi Nakamoto氏が発表した論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」の中で誕生した。もともと本論文で開発されたブロックチェーンの仕組みは、以下のような性質を持ったビットコインを作るために開発された。

(A) 第三者機関を必要としない直接取引の実現
(B) 非可逆的な取引の実現
(C) 少額取引における信用コストの実現
(D) 手数料の低コスト化
(E) 二重支払いの防止

 この仕組みには、従来の集中管理型システムに比べ、改ざんが極めて困難であり、耐久性の高さや維持費の安価さなどのメリットがあった。しかし、その一方で、以下のような課題も存在した。

(A) 取引完了までに数分間かかるため、即時性が求められる処理に向かない。
(B) 新たなチェーンを生成する際に大規模なマシンパワー(電力、計算能力)を必要とする。
(C) ネットワーク参加者の50%より大きなマシンパワーを占有されると、データ改ざんが可能になってしまう。

 現在では、こうした課題を解決しながら、多種多様なブロックチェーンが開発され、金融決済にとどまらない、多様な用途に応用されている。

「P2Pネットワーク」にすべての取引履歴データを分散保存

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 ビットコインのブロックチェーンは、一言でいうと「過去からのすべての取引履歴(トランザクションデータ)を一定容量(ブロック)で時間順序に合わせて区切った上で、それぞれのブロックを特殊チェーンによってつなげた一連の取引データの集合体(データベース)」といえる。

 この「過去からのすべての取引履歴を記憶したデータベース」であるブロックチェーンと同一のチェーンを保存した不特定多数のノード(ネットワークに能動的に接続されている電子デバイス、パソコンなど)によって構成されるネットワークが、ビットコイン取引のプラットフォームである。

 このネットワークの特徴は、特定の管理主体が存在するクライアント/サーバ型ではなく、各ノード(コンピュータなど)が対等に直接通信し、ネットワークを形成している点であり、このような中央管理者不在の分散ネットワークを「P2Pネットワーク」と呼ぶ。

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ブロックチェーンは、P2Pネットワークを使って過去のすべての取引履歴を記録している
(出典:経済産業省


ブロックを構成する3要素と高い耐改ざん性を実現する仕組み

 次に各ブロックがどのように構成され、またつながれているのかを説明しよう。ブロックチェーンのそれぞれのブロックは、以下の3要素によって構成されている。

(A) トランザクションデータ(Tx):
 ユーザー間でやり取りした決済情報などの取引

(B) ナンス(Nonce):
 ハッシュを計算するための鍵を握る値

(C) 前のブロックのハッシュ値(Prev Hash):
 ブロック同士を連携させるための情報

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ブロックを構成する3つの要素とブロックとブロックの関係
(出典: Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System)
 ここでのハッシュ値は、データを一方向にしか変換できないハッシュ関数に「ナンスと個別のトランザクションデータおよび前のブロックのハッシュ値」を代入することで導出される値である。

 そして、ビットコインのブロックチェーンは、直前のブロックのハッシュ値を新たに生成されるブロックに持たせることでブロック間に数学的に高度で難解(ほぼ逆算不可能)な関係性を付与することで、ブロックチェーンの耐改ざん性を向上させている。

 その高い耐改ざん性のポイントはハッシュ関数の不可逆性などに由来するが、この耐改ざん性こそがブロックチェーンが重宝されている理由であり、厳密性・透明性が重視される決済に欠かせないポイントになっている。

 仮に1つのノードのブロックチェーンの中にある「取引履歴間のある取引」を改ざんしようとしても、その取引以降のすべての取引のデータが書き換わって変質してしまうため、ほかのノードに保存されている本来同一であるはずのブロックチェーンとの不整合により、そのブロックチェーンおよびノードの虚偽が発覚する。

 ただし、仮にネットワークを構築する50%以上のノードの中のブロックチェーンが書き換えられてしまった場合には、システムが乗っ取られてしまうこともまた然りである。

ブロックチェーンの持つ「ビザンチン障害」耐性

 「ビザンチン障害」は、「内部の複数メンバーで監視し合うシステム」「内部の複数メンバーで協力し合うシステム」があったとしても、頭の良い反逆者や複数の者が結託して不正を働こうとした場合や、何らかの事情で情報伝達がうまくいかなかった場合などに、メンバー間での合意が形成できなくなって発生する障害のことである。

 高いセキュリティ・安定性が求められる金融システム、公共システムには、ビザンチン障害耐性のあるシステムが必要不可欠である。

 ブロックチェーンの大きな特徴の1つが、まさにこの「ビザンチン障害」を回避する仕組みが組み込まれていることである。上述したハッシュ関数を応用したチェーン構造を含む分散型合意形成アルゴリズム(コンセンサス・アルゴリズム)が、ブロックチェーンのシステムとしてのセキュリティ・安定性・耐改ざん性を向上させている。

 言い換えるならば、ブロックチェーンとは、「あるコミュニティ内での取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげた上で、コミュニティ内の誰かが取引履歴間のある取引について改ざんを行うことを限りなく難しくした仕組み」だといえる。

【次ページ】ブロックチェーン関連スタートアップ企業の最新動向

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