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- 2023/05/24 掲載
なぜ日本で再エネ普及が進まない?開くばかりの欧米との差と見えない“政府の本気度”
連載:「エネルギーの疑問にお答えします。」
欧米に“取り残される”日本、先進国で最低レベルの再エネの割合
世界中を襲っているエネルギー費高騰。各国は、短期的には企業や家庭など需要家への補助、中長期的には再生可能エネルギーの利用拡大などの対策を行っている。すでに世界的に太陽光発電とヒートポンプが空前のブームを呼んでいる。再エネ利用拡大は、他国に頼らない自前のエネルギーを増やすといういわゆるエネルギー安全保障につながるだけでなく、地球温暖化対策としての脱炭素の最も重要な手段となる。自宅や工場の屋根上に太陽光パネルを設置すれば、ほぼ確実に現状より安い電気が手に入ることから、高騰対応・脱炭素・安全保障とまさに一石三鳥の効果が得られる。
しかし、日本の再エネの普及を見ると、たしかに量を増やしてきてはいるが、スピードは決して速くない。過去には太陽光発電で世界を大きくリードしていた時期もあるだけに、遅滞が目立っているといってよい。
下のグラフは、欧米など主要国の再エネ発電の割合を比べたものである。2022年時点で、日本は22.7%とアメリカとほぼ並んで最も低い。原発大国のフランスでさえ、日本を上回っている。
2000年時点では再エネの優等生だった日本
では、いつから日本の再エネ発電はこのような状態なのであろうか。下のグラフは、日本、英国、ドイツの電力に占める再エネの割合の推移を示している。20年以上前の2000年時点では日本は1割を超えていて(ほとんどが大型の水力発電だが)、この3つの国の中ではトップであった。しかし、その後、英国、ドイツが40~30ポイントも増やして、日本のはるか先に行ってしまったことがわかる。
日本は、福島の原発事故の後、FIT制度(再エネ電力の固定価格買い取り制度)を導入して太陽光発電を中心に倍増させた。一方、ドイツは2000年に日本のFIT制度にあたるEEGを早くからスタートさせて加速、英国は特に洋上を含む風力発電を急激に伸ばしている。
なぜここまで諸外国との差が生まれたのだろうか。そして日本で再エネが普及しない根本的な原因とはなんだろうか。 【次ページ】なぜ日本で再エネ普及が進まないのか? 根本理由
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