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- 2024/07/30 掲載
脱炭素の主役「太陽光発電」の課題と日本発の「ペロブスカイト太陽電池」による克服策
連載:「エネルギーの疑問にお答えします。」
世界の再エネ拡大を先頭で引っ張る太陽光発電
図1は、IEAが公表している毎年追加される再エネ発電の容量を電源別に示したものである。2019年に追加容量で200GWを突破して以来、再エネ発電施設は急激に増えていて、2023年は年間500GWを越えている。中でも、太陽光発電(黄色)はこの数年、全体の半分以上を占めている。昨年は追加分の4分の3が太陽光で、爆発的な増加を見せた。
近年、世界の新設発電所の圧倒的多数が再エネである。2022年で見ても新設の8割は太陽光+風力発電で、世界の新規の発電施設の量をネットで調べると、出てくるのはほとんどが再エネ発電施設の統計だけだ。
特に太陽光発電の勢いは止まらない。米国の権威あるシンクタンクであるロッキーマウンテン研究所(RMI)によれば、年平均成長率(CAGR)は、風力発電の14%に対して太陽光発電28%と2倍である。この率はおよそ2~3年で施設が倍増する計算となる。今後はさらに伸び率が増加するという。
九州で顕著となる「出力抑制」の常態化
その一方で大きく2つの課題がある。1つ目は、太陽光発電が夜に発電できないことや天候による発電力の変動である。それに付随して日本でまず問題となったのが、「出力抑制」である。太陽光発電が普及したのは良いが、大量導入で昼間に余るケースが頻出したのだ。特に、九州地方で最初に顕著になった。電力は、基本的に需給を一致させる必要があり、バランスが悪いと停電などにつながる可能性がある。そのため、せっかく発電できても系統につながなかったり、発電を止めたりすること(=出力抑制)を実際に行っている。一方で、朝、太陽が出る前や日没後には電気が急に足らなくなり、電力市場が跳ね上がることも日常的に起きる。
九州地方では、この出力抑制が太陽光発電を中心に常態化していて、資源エネルギー庁の推定で2023年度は抑制率が6.7%とされる。さらに2024年度は全国で3倍増の可能性がある。
出力抑制のカリフォルニア州での対応例
こうした課題の対策については、時間のかかる系統の強化や制度面などでの緩和方法など複数あるが、本稿ではカリフォルニア州での対応例を紹介する。図2は、米国のカリフォルニア州のある日(6月29日木曜日)の24時間(横軸)の電源構成(縦軸、GW)を示している。色別に分かれているが、昼間に最も存在感があるのが、黄色で示された太陽光発電である。その下に一定の厚みがあるオレンジ色の層が風力発電、さらにその下の薄い青の帯が水力発電となっている。カリフォルニア州では、この3つの再エネをWWS(Wind、Water、Sun)と呼んでまとめて統計を出すことが多い。
黄色の太陽光発電の中を横切る黒い点線が州全体の需要曲線である。朝7時くらいから夕方17時くらいまで、供給が需要を上回っていることが分かる。日本ではこう予測されると、基本的に「出力抑制」がかけられることが多い。
ところがカリフォルニア州では違う。 【次ページ】カリフォルニア州での対応例とは?
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