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  • 2023/09/13 掲載

物流コストはいつまで上がる? 2024年問題目前…「5つのトレンド動向」を総ざらい

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物流の2024年問題まで、残り約半年となりました。これまでは「自社には関係ない」といった認識を持たれている企業が少なくありませんでしたが、2024年問題が間近に迫り、営業や経営企画といった物流以外の担当者にも興味関心が広がっています。2024年問題に対する情報収集や具体的な対策の検討・実行は、今後さらに加速するでしょう。しかし対策するには、物流の動向をしっかり理解し、2024年問題以降を見据えた取り組みが必要となります。そこで本稿では、これまでの物流業界を振り返りながら、荷主企業・物流企業による取り組み実態と、継続して取り組むべき物流施策について解説します。

執筆:船井総研ロジ ロジスティクスコンサルティング部 部長 田代 三紀子

執筆:船井総研ロジ ロジスティクスコンサルティング部 部長 田代 三紀子

製造業・小売業を中心とした荷主企業に対して、物流の改善提案を行い物流拠点の見直し、コスト削減策の提案を実施し、物流子会社に対しては存在価値、あるべき姿の策定、他社との競争力評価を行っている。得意なカテゴリーは、化学・小売・日用雑貨など。物流をテーマにした数少ない女性コンサルタント。最近ではESGロジスティクス、カーボンニュートラルロジスティクスをテーマに活動を進めており、2024年問題への対策にも対応している。

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物流業界のトレンド・運賃・物流施策の動向を総ざらい
(船井総研ロジ提供、編集部作成)

【総ざらい】物流業界の「5つのトレンド」動向

 物流業界ではこの5~6年、物流の2024年問題に関することだけでなく、予測の難しい、さらには変化の激しい状況が多く見受けられました。ここで、改めて、これまでの物流業界を振り返ってみましょう。

■荷主企業と物流企業のパワーバランス
 物流企業は荷主企業からの仕事を得て初めて事業が成り立つため、必然的に力関係で弱い立場にならざるを得ませんでした。そのため荷主企業に継続して取引をしてもらうことを目的に、物流企業は安い運賃を提示していました。

 こうした取引環境により、物流業界(トラックドライバー職)は労働時間が他産業より2時間長く、賃金は1~2割安い状態となりました。全産業で人手不足が騒がれていますが、物流業界は人手不足を解消しづらい業界の1つとなってしまいました。

 本来であれば、人手を確保するために、給与をアップし、働きやすい環境を整えなければなりません。そのためには、安い運賃の提示などではなく、ドライバーの負担となるような物流取引の緩和・排除や、運賃の改定が必要です。最悪の場合、物流企業側から取引終了の申し入れをしなければならない状況も考えられます。

■ボリュームメリットによる優位性
 物流業界における取引は、ボリュームメリットとして安い価格をいかに物流企業から引き出せるか、という点に注力されていました。つまり、荷主企業がたくさんの荷物(仕事)を物流企業へ依頼する代わりに、安い価格で取引をするということです。

画像
物流業界の5つのトレンド動向を総ざらいする
(Photo/Shutterstock.com)

 しかし物流業界の人手不足、高齢化によって、安い価格では事業継続が厳しくなり、値上げをする物流企業が増えてきました。さらには、たくさんの荷物(仕事)を依頼しても、逆に物流企業側の体制(人員)が整っておらず、仕事を断られる傾向も見受けられるようになりました。

■拠点集約vs拠点分散
 先述した物流業界での変化が起きた結果、拠点の在り方にも変化が生じています。「拠点集約vs拠点分散」はよく話題として取り上げられるテーマの1つでもありますが、どちらが良いというわけではありません。各社、その時々の時流に合わせて、拠点の考え方を持つべきであるということです。

 2016年までは「拠点集約」をして、拠点運営費用の抑制や在庫圧縮に努めていました。2017年以降は、「拠点分散」の傾向がしばらく続いています。きっかけとしては2017年に報道されたヤマト運輸による運賃値上げがきっかけです。物流業界の一部の状況ではありますが、実態が世間にも公表されたことで、このころから物流企業の負荷を軽減させるための取り組みの検討が進み始めました。

 拠点を集約することで、1拠点当たりの規模(坪数、取引、必要人員数など)が拡大するため、物流企業も規模に耐え得る体制を整えなければなりません。しかし人手不足の中、一度に大量の人手を確保することや、大量の車両を1拠点に集めることが困難であることなどの理由から、大規模拠点の構想から地域拠点構想へシフトしつつあります。 【次ページ】もう2つの「トレンド動向」と2024年問題への「対策動向」

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