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- 2024/01/12 掲載
“補助金凄い”東京都がどんなに「水素」に熱心でも、世界との差は開き続けそうな理由
水素に超熱心な東京都、「突出して高い」補助金事情
地球温暖化防止に関する活動の推進を図るために2008年に開設された「東京都地球温暖化防止活動推進センター」には、その活動の一環として水素を用いて脱炭素化を図る事業者や個人への助成金制度がある。東京都はEV購入への補助金でも全国一高い水準を持つが、FCV(燃料電池車)にも補助が広がっている。
個別に見ると、給電機能のあるEV、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCVそれぞれに補助金があるのだが、対象となるメーカーはトヨタ、日産、BMW、ボルボ、ホンダ、マツダ、三菱、ステランティス、テスラだ。
EVとPHEVでは、2023年の実績で個人が給電機能付きのものを購入した場合の補助金は45万円(事業者では37.5万円)、給電機能が無い場合はそれぞれ35万円(事業者は27.5万円)。
一方でFCVの場合、給電機能付きなら110万円、無しでも100万円と補助率が高く、個人・事業者ともに同額となる。
しかもこれに上乗せする形で自動車メーカー別の補助額があり、これは日産・三菱・テスラがそれぞれ10万円でその他が5万円となる。
そして3段階目として再エネ100%の電力を契約した場合、個人なら15万円、事業者なら12.5万円となり、基本的に充電は行わないFCVであっても上乗せが25万円となる。
これらのほかにEVバイクやEVなどの外部給電器の設置にも補助金があり、全体として東京都のZEV(ゼロエミッション車:無公害車両)への補助は他の自治体と比較して突出して高いと言える。
さらに手厚いのが、再エネ由来水素の本格活用を見据えた「設備等導入促進事業」で、対象は民間事業者および都内の区市町村。
これは、再生可能エネルギー由来水素活用設備(再エネにより発電した電力を用いた水素生成設備、また製造した水素をFCV、水素燃料ボイラーなどに供給する設備)に対しては、最大で3億7,000万円、純水素型燃料電池(水素のみを燃料とする燃料電池)および水素燃料ボイラー(水素燃料のみを使用する業務・産業用ボイラー)では最大8,700万円が補助される。
普及しないFCV、需要ないのに補助強める東京都の主張
このように、ソーラーパネルなどの再エネ電力への補助も行いつつ、余剰電力を用いた水素生成やその利用に対し、手厚い補助が行われている。特にFCVに関しては、国からの補助金が2023年度が55万円であることを考えると、非常に大きな補助金だ。問題は、個人が購入できるFCVがまだまだ普及していない点だ。 【次ページ】需要がないのに補助を強める東京都の主張
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