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  • 2024/03/05 掲載

アップル・グーグルをも脅かす、絶好調ファーウェイが「脱Android」で狙う大本命市場

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中国の通信機器大手ファーウェイは、2024年内に独自開発OSの最新版「HarmonyOS NEXT」のリリースを予定している。これにより、同社のデバイスはグーグルのOS「Android」と完全に決別する。だが、Androidとの決別は、Google PlayやGoogle Mapsなどグーグル系アプリが使用できないことを意味する。グーグル系のアプリが使えず、中国のアプリしか使用できないスマホなど中国以外では需要がないように思えるが、実はHarmonyOSが世界で普及する可能性は多いにある。ファーウェイが「脱Android」で狙う市場はどこか。
執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

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ファーウェイが2023年9月に発売したスマホ「Mate 60 Pro」は、中国国内で“iPhone超え”の出荷数を果たすなど、快進撃を見せている
(写真:CFoto/アフロ)

勢力図が塗り替わり始めた中国スマホ市場

生成AIで1分にまとめた動画
 2023年は中国のスマートフォン(以下スマホ)市場の空気感ががらりと変わった。

 2022年までは、米国の半導体装置の輸出規制(チップ封鎖)により、ファーウェイは5G対応スマホが製造できなくなり、販売数を大きく落としていた。中国スマホ大手のシャオミは、ファーウェイの抜けた穴を狙ってハイエンドスマホに挑戦したが、製品は不評で不発に終わっていた。

 しかし、2023年に入り、ファーウェイは独自技術で5G対応SoC(システムオンチップ:スマホの頭脳部分)「Kirin9000S」の製造に成功、華々しいカムバックを果たし、同年9月に発売開始したスマホ「Mate 60 Pro」は品薄状態が続く人気となっている。


 また、シャオミもハイエンド機の品質が安定し、シェアを拡大した。そのあおりで、アップルのiPhoneがシェアを落とし、大幅値下げをするなどテコ入れをしているが苦しい状況が続いている。

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中国のスマートフォン販売市場シェア。2023年になり、ファーウェイの復活、シャオミのハイエンドシフトの成功、元ファーウェイのサブブランドであるオナーの好調さが目立つ。アップルは苦しい状況が続いている
(出典:Counterpoint)

最新独自OS「HarmonyOS NEXT」で完全「脱Android」

 ファーウェイは米国の制裁により、SoCだけでなく、グーグルのGMS(Google Mobile Service)の供給も絶たれた。GMSとはGoogle MapsやGoogle Playなどのグーグルが提供するアプリ群のことで、特にアプリストアであるGoogle Playが利用できないということは、ユーザーはアプリを入手する手段が絶たれるということで、スマホとして使い物にならない。

 そのため、ファーウェイは独自開発のOS「鴻蒙系統」(ホンモン、HarmonyOS)を搭載、独自のアプリストアも搭載した。2024年1月18日、ファーウェイはこのHarmonyOSの新しいバージョン「鴻蒙星河版」(HarmonyOS NEXT)を発表した。現在のHarmonyOSは4.0で、このNEXTは5.0に相当するもの。それをNEXTという愛称を付けたのは、HarmonyOSが大きく変わるからだ。

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HarmonyOSは2012年から開発が始まり、研究プロジェクトとして継続され、2018年に内部テストを完了していた。これが米国のチップ封鎖により、商品に搭載されることになった
(出典:各種資料から筆者整理)

 これまで、HarmonyOSはカーネル(基礎部分)にLinux(リナックス)を採用し、Androidアプリの実行ユニットを備えていたため、Androidアプリを動作させることができた。しかしNEXTではカーネルも独自のものとなり、これでHarmonyOSは100%ファーウェイ自主開発となる。これに伴い、Androidアプリ実行ユニットが廃止されるため、Androidアプリが動作しなくなる。つまり、完全に「脱Android」することになる。

 アプリはHarmony専用のものを新たに開発する必要があるが、すでに多くの中国企業が開発を始めている。HarmonyOS NEXTのリリースは2024年内とされているが、リリース時には500、年末までには5000のHarmonyネイティブアプリが出揃う予定だ。

スマホ主要OSはアップル、グーグル、ファーウェイの天下三分に

 これにより、スマートフォンのプラットフォームは、アップルのiOS、グーグルのAndroid、ファーウェイのHarmonyOSと三分されることになる。

 しかし、多くの読者はHarmonyOSに強い興味は持てないだろう。なぜなら、いくら優れたプラットフォームであっても、グーグル系のアプリが使えず、中国のアプリしかインストールできないスマホなど、他国ではまったく使い物にならないからだ。天下を三分するといっても、HarmonyOSは中国の外に出ることはできない。コップの中の嵐と言うには中国市場は大きいが、それでもせいぜいバスタブの中の嵐にすぎないのではないか。そう考えるのが自然だ。

 しかし、HarmonyOSは別の形で海外に普及する可能性がある。 【次ページ】世界進出が大いにあり得る、HarmonyOSの「最大の特徴」

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