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- 2024/07/23 掲載
国内赤字「サイゼリヤ」が中国で大黒字の“謎”、「安くない」のになぜ人気?
日本では赤字、中国では大黒字のサイゼリヤ
中国のサイゼリヤが絶好調だ。2023年の売上高は532.17億円となり、前年比で44.6%も成長している。2022年も357.93億円で前年比23.0%の成長となっている。店舗数は、2021年が360店舗、2023年が380店舗と増加ペースがゆっくりであるため、そのぶん来客数が増えていることになる。広州市、上海市、北京市の3都市を中心に展開をしているが、どの店舗も盛況で、週末には行列に並ばないと入ることができない。
この中国事業の成長は、サイゼリヤという企業にとって救世主となった。日本事業はコロナ禍以降赤字状態になっており、そのぶんを中国事業の利益で補っている状況だ。
原材料費などの高騰によりコストが上昇しているが、サイゼリヤはポリシーとして安易な値上げはしたくないため、利益幅が圧縮されている。中国でも一部を除いて値上げには慎重だが、それを上回る来客数があり、大きな利益が出ている。
中国の飲食市場では「激安ではない」価格帯
なぜ、中国のサイゼリヤはここまで人気なのか。「安い」という理由だけでは説明しきれない。なぜなら、中国のサイゼリヤの客単価は45元(約980円)で、高くはないがインパクトのある激安ぶりではない。
中国の現在の飲食市場は、客単価の高いところから倒産、閉店の波が始まっている。西洋レストランでは、客単価が500元(約1万1,000円)を超え、ミシュランの星を取るようなレストランが次々と閉店している。客単価200元のレストランでは、固定客がいるレストランは継続できているが、急拡大をしたチェーンや、料理の質が高くないところは閉店が続いている。
マクドナルドやKFC(ケンタッキーフライドチキン)などの西洋ファストフードや、麺、鍋などの中華ファストフードは客単価が40元前後だったが、クーポン券などの配布により実質30元前後で食べられる環境を作り、人気となっている。
多くの消費者アンケートで食事に出せる金額を尋ねると、30元(約650円)を切ることが消費者に重要な判断基準になっていることがはっきりとしている。その中で、45元のサイゼリヤは高価格帯なのだ。なぜ、激安とは言えないサイゼリヤにお客が集まるのか。 【次ページ】敬遠される要素がこんなに…さらに深まる「サイゼ成功の謎」
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