• 2026/02/09 掲載

フォードやGMより「一枚上手」?マツダのEV発売延期は「後退じゃない」と言えるワケ

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マツダが自社開発の次世代EVの投入時期を2029年以降へ後ろ倒しし、当面はHV強化に軸足を置く方針が報じられた背景にあるとされるのは米国のEV需要の伸びの鈍化という市場局面の変化だ。一見「後退」と見られがちなマツダの動きだが、市場が変化している現在、単なる後退ではなく「賢明な選択」であることが見えてくる。その理由とは何か。ライバルとなる米国の自動車メーカーの動きとともに解説する。
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EV戦略におけるマツダの方針転換の狙いとは
(Photo:Ralph Metzger/Shutterstock.com)

米国EV市場「失速」に潜む“ある事情”

 米国の電気自動車(EV)市場は「急減速」と言われるが、実態は販売がゼロ成長に近づき、価格や優遇策に反応しやすい局面へ移ったことにある。自動車関連の調査会社Cox Automotiveは、2025年の米国EV販売台数を127.6万台(前年比2%減)と推計した。さらに、連邦の販売インセンティブが失効した直後の2025年10~12月(第4四半期)は23.4万台と、前期比46%減・前年同期比36%減まで落ち込んだとしている。市場が「売れない」のではなく、伸びを維持するには追加の値引きや施策が必要になった点が重要だ。

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EV市場が変化の局面を迎えている
(Photo/Shutterstock.com)

 一方、業界団体NADAの集計では、2025年のBEV販売は126万台で前年比1.2%増、シェアは7.7%とわずかに低下した。推計主体によって増減の見え方は異なるが、共通するのは「2025年後半に失速が顕在化した」ことと、「施策の有無で需要が振れやすい」ことだ。

1ページ目を1分でまとめた動画
 米国では2025年に入ってからEV取引に占めるリース比率が高まり、税制上の優遇を活用した「月額を下げて普及させる」販売が広がった。Car and Driverは、2023年から2025年9月までに110万台超のEVがリースされたとし、2025年には新車EV取引の58%がリースに達した局面があったと伝えている。こうした販売手法は普及の起爆剤になる一方、優遇策が途切れると需要が急に細る。また、3年物のリース車が2026年以降に大量に戻ることで中古EV供給が増え、残価の下押し圧力になる可能性も指摘されている。新車の値引き余地や残価の不安は、購入判断をさらに慎重にさせる。

 こうした変化は、価格帯が高いSUV・ピックアップ中心の米国市場ではより効く。購入者が求めるのは航続距離だけでなく、月々の支払額、残価、充電の手間を含む総費用である。優遇策が薄れると、同価格帯のHVやPHEVへ需要が回帰しやすい。結果として、メーカー側は「拡大前提の増産」から「採算前提の選別」へ舵を切らざるを得なくなった。

フォードやGMはなぜ「急ブレーキ」を踏んだのか

 この局面で目立つのが、米大手の自動車メーカーがEV投資の速度を落とし始めた点である。フォードは2024年8月、3列の大型電動SUV計画を中止し、次世代の電動ピックアップ(F-150の後継)投入を2027年へ遅らせると発表した。狙いは需要に合わせたコスト最適化で、同社はハイブリッドを含む商品計画へ重点を移す姿勢を示した。

 GMも「量より需要に合わせる」姿勢を鮮明にした。2024年7月、同社は北米で2025年末までにEV生産能力100万台を確保するという従来の見通しを改めて言及せず、「需要に応じて生産する」と説明した。目標を掲げて増産するのではなく、市場の吸収力を見極める段階へ移ったといえる。

 重要なのは、両社ともEVから撤退したわけではない点だ。採算が合う車種、合う価格帯、合う地域に絞って投資を進めるという整理である。結果として、EV一本足では需要の変動を吸収しにくく、HV・PHEVを含む複線がリスク分散になるという構図が強まっている。 【次ページ】マツダのHVシフトは「後退じゃない」と言えるワケ
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