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- 2025/05/19 掲載
「EV急速充電」市場を図解、EV失速でも「堅調成長」する周辺技術の今後をまとめて解説
EV急速充電システムとは、どのような仕組み?
EVの普及における最大の障壁の1つは、充電に時間がかかることでした。そこで登場したのが、充電プロセスを高速化するEV急速充電システムです。急速充電システムとは、高電圧の直流エネルギーを直接車両のバッテリーに供給する技術のことで、充電時間を大幅に短縮してくれます。わずか30分でバッテリーの80%を充電できるため、長距離移動でも充電の待ち時間を最小限に抑えることが可能です。
世界中で急速充電ステーションが増えれば、EVユーザーは従来のガソリンスタンドと同じような利便性を享受できるようになり、EVへの移行がさらに加速するでしょう。
10年で3.5倍成長予測、EV急速充電システム市場
米市場調査会社BISリサーチによると、アジア太平洋地域のEV急速充電システム市場は、2023年の71億3,000万米ドルから2033年には248億1,000万米ドル(約3.5兆円:2025年4月時点の為替レート)に成長し、年平均成長率(CAGR)は13.28%になると予測されています。世界中で急速充電ステーションの設置が進み、EVの利便性はガソリン車に徐々に近づいてきました。急速充電ネットワークは高速道路、都市部、人気の観光地に広がり、EVユーザーが充電できずに立ち往生したり、長時間待たされたりすることが少なくなっています。
今後、急速充電のインフラが拡大を続けるにつれ、EVへの移行がこれまで以上にスムーズかつ迅速に、便利になるでしょう。
EV大国・中国で進む「超急速充電ネットワーク」
米投資情報プラットフォーム「インベストペディア」によると、2024年1月、中国のEVメーカーであるシャオペン(XPeng)は、フォルクスワーゲンの中国法人と提携し、超急速充電ネットワークの構築に乗り出しました。この提携は、シャオペンとフォルクスワーゲンのEVユーザーが利用できる充電ユニットを、420都市に2万基以上設置することを目的としています。この取り組みでは、高出力の液冷式超急速充電技術を活用し、中国のEVユーザーの充電体験を向上させる計画です。
こうした急速充電インフラの拡大は、EVの利便性を高めるだけでなく、EVの「心臓部」であるリチウムイオン電池の有効活用や持続可能な利用にもつながっています。 【次ページ】EVの心臓「リチウムイオン電池」の活用実態
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