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- 2025/05/12 掲載
韓国ヒョンデの新型EVに「日本車は勝てない」と言えるワケ、試乗で見えた「実力差」
連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか
韓国ヒョンデの最新EV「ある特徴」
韓国のヒョンデ(現代自動車)が、新型の小型EVとなるINSTER(インスター)を、2025年4月に日本で発売した。ヒョンデは、2009年に日本市場から1度撤退していたが、2022年にEVのIONIQ 5(アイオニック・ファイブ)の販売により再参入を果たした。再参入に際し、ヒョンデは扱う車種をEVと燃料電池車(FCV)に絞っている。
IONIQ 5の後には、同車種より一回り小さなCONA(コナ)が2023年に発売されており、今回のインスター発売は、EV第3弾ということになる。
インスターは小型乗用車、いわゆる「5ナンバー」車であることが特徴の1つとなっている。
実は、日本で5ナンバーの選択肢は極めて少ない。インスターを除けば、ほかにはステランティスのフィアット 500eだけである。中国のBYDが販売するDOLFINE(ドルフィン)も、小型ハッチバック車で5ナンバーのように見えるが、車幅が1.7メートルを超えるので、実は普通乗用車、いわゆる「3ナンバー」車だ。
日本での「日常使い」に最適すぎるワケ
この5ナンバー車であるという特徴は、実際に日々使いだすと、そのありがたみを実感するはずだ。日本では、建築基準法によって道路の規定があり、原則として幅が4メートル以上の必要がある。道路幅が4メートルより狭い場合は、その道路の中央線から2メートルを道路の境界線とみなし、2メートルの範囲内は「セットバック」として建築物を建てられない。
ところが現実には、この条件を満たしていない狭い路地は住宅地や旧市街などに存在し、なおかつ交互通行である区間がいくらでもある。
法規がありながら、なぜ改善されないのか。理由は、セットバックを確保するには家の建て替えが必要で、改築では4メートル道路への適応がなされないためだ。道路を4メートルへ拡幅するには自分の土地を削らなければならず、それを嫌がって建て替えではなく改築で済ませる家がある。つまり、いつまでたっても道幅の狭い路地は残り続ける。
また、道路の幅だけでなく、駐車場の枠も3ナンバー車が増えたからといって広げられているわけではない。
一般に、駐車枠は、長さが5メートルで幅は2.5メートルである。ここに、車幅が1.7メートルを超える3ナンバー車が止められると、片側40センチ以下のゆとりしかない。実際には、1.8メートル前後かそれ以上の車幅になることが多いので、ゆとりは30センチ前後となり、開けたドアの幅を考慮すると、出入りの難しい状況になる。
月極駐車場であれ、時間貸し駐車場であれ、限られた敷地内に最大の台数を止められるようにするほうが土地の所有者は利益が増えるので、広い駐車枠の例は限られる。
戸建て住宅に併設される車庫も、建築の際に優先されるのは、間取りと一部屋の広さであり、車庫は狭くなりがちだ。そこに3ナンバー車を止めると、乗降が難しくなり、家の前の道路にはみ出させている様子さえ見かける。 【次ページ】日本メーカーが負けている「ある視点」
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