- 2025/11/26 掲載
なぜ今さら…? 三菱ミラージュを「惜しむ声」が続出のワケ、裏で起きた「3つの変化」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
変化(1):新車価格が爆上がり
なぜミラージュの引退が惜しまれるのか。それを理解するには、米国で新車価格の高騰が止まらない現象を理解する必要がある。まず、過去においてはクルマの値段の上昇は緩やかなものであった。図1のように、1990年から2011年のおよそ30年間に、新車平均価格は1万5,000ドル(約227万円)から2万5,000ドル(約378万円)へとゆっくり上がっていった。
ところが、翌2012年に新車平均価格は3万ドル(約450万円)を突破して急激に上昇し、過去5年間だけでも25%余りも値上がりした。ついに2025年9月には、5万ドル(約760万円)を超えてしまったのである。
米自動車庁舎企業コックス・オートモーティブのエグゼクティブアナリストであるエリン・キーティング氏は発表文で、「2万ドルクラスの車はほとんど見かけなくなった」と指摘し、「現在の自動車市場は比較的裕福な層がけん引している」と解説。実際に、直近では、高価格のピックアップトラックやスポーツタイプ多目的車(SUV)の人気が高まっている。
そうしたモデルでは、加速や馬力など性能の良さに加えて、さまざまな先進安全装置や高級インフォテイメントシステム、自動運転支援などが標準装備されることで、価格はさらにアップしている。
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