- 2025/11/20 掲載
新潟・柏崎刈羽原発に行ってわかった「現場のリアルな苦労」と「再稼働しないリスク」(3/3)
原発稼働で生まれる「ある経済効果」とは
新潟県が公表した公式推計によれば、柏崎刈羽原発の再稼働は、10年間で地域に約4,400億円の経済効果と3,200億円以上の税収、そして数千人規模の安定した雇用をもたらす。今月19日には、新潟県の花角英世知知事が6号機の再稼働を容認する方針を固めたと報道が出たばかりだが、逆に言えば、現状はまだ3,200億円以上の税収を失い続けているのだ。東京電力は1,000億円規模の資金を県に拠出する方針も示したが、なんのことはない、厳しい安全基準をすでに満たした原発をただ動かすだけで、その数倍以上の税金が入ってくるわけである。何より数千人規模の雇用によって人流も増え、街はにぎわいを取り戻す。稼働停止が長引けば、この多くが失われ、地域経済は疲弊し人々の生活基盤そのものが揺らぎかねない。これは感情論ではない。数字が示す未来予測である。
リスクをゼロにすることはできないというのは、自動車の運転から飛行機の利用、あるいは食事に至るまで、あらゆる人間活動に共通する原理だ。問題は、どのリスクを選択し、どのリスクを許容し、どのリスクを最小化するために知恵と資源を投じるかという、極めて理性的で、時には冷徹な判断である。航空機が突っ込むという現実的に考えにくいリスクに固執するあまり、電力不足による産業の衰退、経済の停滞、そして国民生活の崩壊という、はるかに蓋然性の高い現実のリスクを招き入れる。
こうした現状について、妥当性を今一度検証する必要があるのではないだろうか。柏崎刈羽原子力発電所は2つの大きな災害の教訓を血肉とし、世界で最も厳格な安全基準をクリアしている。それでもなお残る非現実的な規制の議論に時間を費やすのではなく、この国のエネルギー安全保障と経済の未来を真剣に考えるべき時だ。
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