- 2025/11/10 掲載
100%EV絶望的…普及率“頭打ち”か…トランプ政権が仕掛けた「カリフォルニアの変」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
全米の「1/3超え」、カリフォルニア州のEV販売
2011年1月から2025年3月までの米国におけるEV販売台数は累計で606万4715台だが、その1/3以上である224万2716台がカリフォルニアで販売されている(図1)。また、同州における新車販売のおよそ25%はEVであり、全米平均の8%と比較して3倍以上だ(アップデートされた最新の数字とその意味は後で解説する)。
加えて、EV充電スタンド、EVトラック、EVバス、EV配送車両の数などにおいても、「ぶっちぎり」の普及率であり、まさに「カリフォルニアなくして米国のEVシフトなし」という状況である。
こうしたEVシフトの流れを可能にしているのが、州独自の先進的な汚染物質排出基準だ。これは、米環境保護庁(EPA)から「必要不可欠かつ特別な事情がある場合」に特例として認められたもので、連邦レベルの規制よりも厳しい。
二酸化炭素(CO2)といった人体や環境に有害な物質を発生させないZEVの完全普及を目標に、カリフォルニア州が2022年に策定。バイデン前政権下のEPAが2024年に承認したアドバンスド・クリーンカー II(ACC II)規制は、そうした州独自基準の1つだ(図2)。
ACC II規制は、同州の新車販売に占めるZEVの割合を2035年に100%とすることを自動車メーカーに義務付けるものだ。不適合車には1台につき、最大2万ドル(約306万円)の罰金が科せられる。
こうした中、化石燃料の大規模開発で米経済の活性化を目指すトランプ大統領が、「EV義務化」に介入し始めている。 【次ページ】トランプ大統領が「EV義務化」を嫌うワケ
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