- 2025/10/14 掲載
「メガソーラー反対」の高市総裁は「AIの電力」どう確保?激ムズ問題の“正しい答え”
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。
高市新総裁の「メガソーラー」反対姿勢
2025年10月、日本の政治風景は大きな転換点を迎えた。自民党総裁選を制した高市早苗氏が、新たな内閣総理大臣として官邸の主となることになった。経済安全保障担当相として国家のエネルギー戦略に深く関与してきた高市氏であるが、新政権のかじ取りで最も注目されるのは、そのエネルギー政策の明確な方向性である。
高市氏はかねてより、再生可能エネルギー、とりわけ大規模太陽光発電(メガソーラー)に対し、強い懐疑の念を隠さない。
今年9月19日の出馬記者会見では「これ以上、私たちの美しい国土を、外国製の太陽光パネルで埋め尽くすことには猛反対」と話し、そのすぐ後、同月11日に開催された立合演説会では「(太陽光発電などの)補助金制度の大掃除をして本当に役に立つものに絞り込む」との考えを表明。「(釧路のメガソーラー設置に対して)だいたいおかしいと思いませんか。釧路湿原に太陽光パネルを敷き詰めるようなやり方は」「ゆがんだ補助金(制度)による結果だ」とメガソーラーへの姿勢を明確にした。
メガソーラーは「もう時代に合わない」ワケ
このように、高市新政権が原子力や核融合といった技術への傾倒を強め、太陽光への依存から脱却を目指すであろうことは、もはや疑う余地がない。総裁選での演説で宣言された「ゆがんだ補助金」制度の見直しは、その第一歩となるだろう。同時にこの方針は、メガソーラーを推進してきた勢力に、警戒感を抱かせていることだろう。高市氏のスタンスは、世界的には常識的な潮流に位置する。かつて欧州を席巻した反原発の熱狂は、今や過去の遺物となった。1986年のチェルノブイリ事故以降、スイス、ベルギー、ドイツ、イタリアといった国々は雪崩を打って脱原発へと舵を切った。再生可能エネルギーが未来を担うという楽観的な物語が、政治の舞台を支配した。
しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻が、その幻想を無慈悲に打ち砕いた。ロシア産ガスへの依存というアキレス腱を突かれ、欧州のエネルギー安全保障は崩壊の危機に瀕した。電力価格は天井知らずに高騰し、代替として石炭火力発電所が再稼働する始末である。高市氏のスタンスを裏付けているのは、こうした国内外のエネルギー情勢である。 【次ページ】グーグル元CEOが指摘する「中国の勝利」と「米国の敗北」
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