- 2026/03/23 掲載
パナやシャープの牙城に異変…なぜ象印は電子レンジに再参入?「17年ぶり」逆襲の真相(2/3)
新連載:家電で読むメーカー戦略図鑑
「最大の不満」をどう解決?象印の技術者たちが出した“答え”
EVERINOシリーズは「うきレジ」「レジグリ」「サクレジ」といった特徴的なネーミングの機能を搭載しているが、その中で最初にできあがったのが、独自開発のガラスボウルを浮かせることで加熱ムラを抑える「うきレジ」だった。電子レンジはほとんどが下からマイクロ波が出るので、その真上に食品が載ると、食材の下部がより熱くなって加熱ムラが生じてしまう。そこから、ボウルを浮かせれば全方位にマイクロ波が行き渡り、加熱ムラがなくなるのではないかという発想が生まれた。
第二事業部 電子レンジグループ シニアアドバイザーの金井孝博氏はレジグリが誕生した経緯について次のように語る。
「ボウルを浮かせるために、スペーサー(置き台)のようなものを置くアイデアや、金属皿を使って浮かせるアイデアも出ました。しかし金属ではスパーク(火花)が生じてしまうため、セラミックの角皿の下部にレールを付けてボウルを浮かせる形にまとまりました」(金井氏)
ほとんどのメーカーがオーブンレンジに付属する角皿に金属皿を採用しているが、これはマイクロ波が当たるとスパークが発生してしまうため、レンジ機能では使えない。しかしセラミック角皿を採用したことで、レンジ加熱とグリル加熱(上部ヒーターによる加熱)を組み合わせた「レジグリ」機能が生まれた。
レジグリ機能とは、レンジ加熱で中まで温めた後に、グリル加熱で焼き色を付けるというものだ。レンジ加熱だけだとパリッと仕上がらない、グリル加熱だと中が生焼けになってしまうリスクがある。レジグリならそういったリスクを避けておいしく仕上げられるのが特徴だ。
「サクレジ」もレジグリと同じようにレンジ加熱とグリル加熱を連続して行う機能だが、揚げ物などの総菜をサクッとした食感にして温め直せるように加熱プログラムを調整した機能だ。
オーブントースターではバルミューダの「BALMUDA THE TOASTER」や「ReBaker」などがパンをサクッとした食感で温め直す「リベイク」を打ち出しているが、これと似た機能をオーブンレンジでも搭載しているのが大きな強みだ。
こうした特徴的な機能を搭載して2022年9月に発売した第1号機の「EVERINO ES-GT26」は、26Lサイズなど中容量クラスのオーブンレンジの中では週次の販売台数第1位になるなど、なかなかのヒット商品となった。
「テレビCMを積極的に行ったこともあり、家電量販店のバイヤーなどにも非常に好意的に受け入れられました。調理におけるあたためムラというお客さまの不満を解決したことと、うきレジやレジグリなどの機能が受け入れられたのではないかと思います」(稗田氏)
再参入第1弾は“あえて”主戦場を避けた「26L戦略」
再参入の第1弾は、各社がフラッグシップモデルを投入する30Lクラスではなく、中容量クラスの26Lだった。30Lクラスは各社がさまざまな機能をフルで投入するため、再参入初期においてはハードルが高く、23Lや18Lクラスは電子レンジ専業メーカーとの価格競争が熾烈でそれに巻き込まれやすい。「容量別で26Lが伸びつつあったこともあり、26Lが最適だと考えました」と稗田氏は語る。
その後、23LでEVERINOのブランドを冠さないスタンダードモデルの「EU-FB23」、18Lの「EVERINO ES-KA18」を発売した。
「容量に応じた使いやすい工夫を搭載した製品に『EVERINO』ブランドを付けています。18Lは単身世帯が多く、調理器具をあまり置けない狭いキッチンでも1台2役でおいしくパンも焼きたいというニーズがあるため、食パンを裏返さずに両面焼ける『パンレジ』機能を搭載しました」(稗田氏) 【次ページ】【業界初】「ツインエンジン」を採用した深いワケ
白物家電・調理・空調機器のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR