• 2026/05/19 掲載

早稲田大学などの国際研究チーム「光」と「原子」を接続する新量子ゲート技術を発表

分散型量子コンピュータや量子インターネットの実現に向けた技術

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早稲田大学、理化学研究所、シンガポール国立大学からなる国際研究チームは、「光」と「原子」を接続する「シングルショット制御変位ゲート」の理論手法を発表した。従来の複数回反射するのではなく、光の1回の反射のみで量子ゲート操作を完結させる手法である。分散型量子コンピュータや量子インターネットの実現に向けた基盤技術として位置づけられている。
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(画像:ビジネス+IT)
 早稲田大学先進理工学研究科の木倉清吾氏、理工学術院の青木隆朗教授、理化学研究所の後藤隼人チームディレクター、シンガポール国立大学の花村文哉博士研究員らの研究グループは、「光」と「原子」という性質の異なる二つの量子系を効率的に接続する新たな手法を理論的に提案した。本研究成果は、物理学誌「Physical Review Letters」に掲載された。量子コンピュータや量子ネットワークの開発において、圧倒的な伝送速度を持つ光と、情報の保持や複雑な演算に優れる原子のハイブリッドシステムの構築が課題となっていた。

 異なる物理系間で情報をやり取りするためには、原子の量子状態に応じて光の状態を変化させる「制御変位ゲート」が不可欠である。しかし、従来のアプローチでは光を共振器に複数回出入りさせる必要があり、その過程で光子の損失や量子エラーが蓄積するという構造的な問題が存在していた。今回提案された「シングルショット制御変位ゲート」は、共振器への光パルスの入射と同時に原子に外部レーザーを照射し、同期させる手法である。

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【図版付き記事はこちら】早稲田大学など研究チーム「光」と「量子」をつなぐ新量子ゲート技術を考案(図版:ビジネス+IT)

 これにより、原子の内部状態に応じて反射光の位相空間上の位置を直接的に変化させることが可能となり、単一の反射のみで制御変位ゲート操作が完了する。4つのエネルギー準位を持つ原子モデルと断熱消去を用いた解析により、実質的に原子の2つの状態と光の間に相互作用が生じることが実証された。さらに、不完全な鏡による光の損失や原子の自然放出といった物理的なノイズを組み込んだシミュレーションも実施された。

 ナノファイバー共振器を用いた現実的なパラメータ設定において、極めて短い光パルスの照射時間でゲート操作が完了し、出力光が高度な量子もつれ状態を維持していることが確認された。本技術は、従来の超伝導方式における物理的なスケールアップの課題を解消し、光ファイバーを介して複数の計算ノードを接続する分散型量子コンピュータの構成要素となる。計算エラーを低減しつつ、遠隔地の量子チップ同士を同期させる新たな量子計算および量子通信技術の中核的な基盤として機能する。

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