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- 2026/06/15 掲載
「2026年版ものづくり白書」まとめ、“投資不足”が招いたヤバすぎる製造業の現実
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX: EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』、『製造業DX Next Stage: 各国/地域の動向やAIエージェントがもたらす新たな変革』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
“体力の差”か“戦略の差”か、稼ぐ企業の設備投資の実態
本白書では、企業の中長期的な成長には、積極的な設備投資・成長投資を通じた収益力向上と持続的な賃上げの実現が重要であることが述べられています。
企業の収益性を示す指標である、EBITDAマージン別に直近3年間の設備投資内容を比較すると、収益力に関係なく「設備の代替(入替え・交換・更新等)」や「既存設備の維持・補修」が最も優先されていることがわかります。
一方で、「省力化・省人化」や「増産・販売力強化」はEBITDAマージン10%以上と10%未満の企業の回答率に有意な差がみられ、収益率の高い企業ほど、労働生産性向上や事業拡大につながる設備投資を積極的に行っていることが示唆されています。
また、「旧来型基幹システムの更新」はEBITDAマージン10%以上と5%未満の企業の回答率に有意な差がみられ、収益力の低い企業では、基幹システム更新の設備投資にまで手が届いていない状況がうかがえます。
総じて、どの項目でもEBITDAマージンの高い企業の方が設備投資を実施しており、収益性の高い企業ほど積極的に設備投資している傾向が明確です。
これらは、“投資余力の差”ではなく、“成長戦略の差”として表れている点が重要であると考えられます。
また、資本装備率と労働生産性の関係性をみると、資本装備率の伸び率が高い事業者は労働生産性の伸び率も高い結果となり、労働生産性を高めていく上において、資本装備率を高めていく必要があることがうかがえます。
労働生産性と賃金の関係性をみると、労働生産性の伸び率が高い事業者は賃金の伸び率も高くなっています。資本装備率を上げることで、労働生産性が上がり、賃上げにつながる好循環が構築されるのではないでしょうか。
製造業の1人当たり名目労働生産性を諸外国と比較すると、日本は中国に対しては約2.3倍と上回っているものの、米国の約3分の1、ドイツの約半分にとどまり、大きく出遅れています。
背景には、長年の投資不足による資本装備率の低さがあると考えられます。
本白書では、収益力の向上、持続的な賃上げ、中長期的な経済成長の実現には、「大胆な投資促進税制」も活用し、競争力強化につながる設備投資や成長投資を後押ししていくことが不可欠であるとしています。 【次ページ】【統計】「わかってない経営層」が見落としている製造業の“勝ち筋”とは
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