- 2025/10/28 掲載
もう「スマホの会社」じゃない……絶好調「シャオミ」が“生活のすべて”を獲りに来た
消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。
中国の最新技術とそれらが実現させる最新ビジネスをレポートする『中国イノベーション事情』を連載中。
シャオミが手に入れた“3種の神器”
中国製品というと「安かろう悪かろう」のイメージが強かったが、徐々に変わりつつある。それを証明しようとしているのが、シャオミだ。独高級カメラメーカーのライカと提携することで写真に強いハイエンドスマートフォン(以下スマホ)が評価され、家電製品、さらにはEVの販売も行うようになっている。特に、中国ではスポーツタイプのEV「SU7」と「YU7」が成功していることがブランドイメージを向上させ、信頼できるブランドへの階段を上り始めている。
スマホでは心臓部とも言える最先端SoC(システム・オン・チップ)の自社開発に成功し、Androidベースの独自OS「HyperOS」、自社開発の大規模言語モデル「MiMo」を発表。これで「演算力・操作性・AI」という“3種の神器”がそろい、ハイエンドブランドのアップル、サムスン、ファーウェイを追撃する体勢が整った。
「スマホの会社」だったシャオミは今、“ある戦略”を主軸に、さらなる進化を遂げようとしているのだ。
シャオミは今、何で儲けている会社なのか?
シャオミの祖業は2011年から発売を始めたスマホだ。そのため、国内外問わず「シャオミはスマホの会社」と認識している人は多い。その認識は正しく、2025年Q2のスマホの売上は455.2億元(約9,800億円)で、シャオミ全体の売上の39.3%を占める。次に大きいのが家電で387.1億元(約8,300億円)、そして自動車の91.0億元(約1,950億円)と続く。
ところが、粗利額で見ると様相がかなり変わる。最も多いのは家電の87.2億元で、全体の粗利額の32.6%。続いて、オンラインサービス(68.6億元、25.6%)、自動車(56.2億元、21.0%)、スマホ(52.2億元、19.5%)となる。
つまり、スマホが最も売上の大きい商品であることは間違いないが、今では、家電とオンラインサービスで儲けている会社なのだ。 【次ページ】日本と対照的……売れに売れている「シャオミ家電」の設計思想
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