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  • 2026/05/20 掲載

【完全解説】規模も内容も凄い…NTTデータ「次世代AIデータセンター戦略」大解剖

連載:デジタル産業構造論

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生成AIの爆発的な普及により、データセンターの重要性がかつてないほど高まっている。だがその背後では、「莫大な消費電力の増加」「サーバの高発熱化」「運用を担う労働力の不足」といった課題がインフラ運営の現場にのしかかっている。この難局に対し、50年以上のミッションクリティカルシステム運用実績を持つNTTデータグループは、いかなる解決策を描いているのか。持株会社制の元、国内とグローバルで強力な連携体制を築き、莫大なインフラ投資を推し進めている同社に、国内外のデータセンター事業の戦略、生成AIを見据えた「次世代冷却技術(液浸・水冷)の最前線」、「AIエージェントの活用」、そしてロボティクスやフィジカルAIを駆使した「次世代データセンター」の構想について話を聞いた。
執筆:法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO

 日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所、産業革新投資機構 JIC-ベンチャーグロースインベストメンツを経て現職。2024年4月より東京国際大学データサイエンス研究所の特任准教授としてサプライチェーン×データサイエンスの教育・研究に従事。加えて、株式会社d-strategy,inc代表取締役CEOとして下記の企業支援を実施(https://dstrategyinc.com/)。

(1)企業のDX・ソリューション戦略・新規事業支援
(2)スタートアップの経営・事業戦略・事業開発支援
(3)大企業・CVCのオープンイノベーション・スタートアップ連携支援
(4)コンサルティングファーム・ソリューション会社向け後方支援

 専門は生成AIを用いた経営変革(Generative DX戦略)、デジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス・ロボットSIer、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。

 近著に『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、経済産業省『デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会/グローバルサプライチェーンデータ共有・連携WG』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)、日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。

【問い合わせ:masahito.komiya@dstrategyinc.com】

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NTTデータの「次世代AIデータセンター戦略」をまるごと解説する
(Photo:Robert Way/Shutterstock.com)
本記事は、NTTデータ ソリューション事業本部 ビジネスプロセスサービス事業部 統括部長 進藤 数馬氏、ソリューション事業本部 クラウド&データセンタ事業部 統括部長 福本 進氏、テクノロジーコンサルティング事業本部 テクノロジーコンサルティング事業部 統括部長 大久保 康基氏に取材した内容を基に、執筆者である小宮昌人氏が内容を整理・考察したものです。

NTTデータ「データセンター」の拠点数・地域・投資状況

 社会のデジタル化が加速する中、データセンターの役割は単なるサーバの保管場所から、ビジネス成長を牽引するコアエンジンへと変貌している。持株会社であるNTTの傘下にあるNTTデータグループは、グループ全体の営業収益が約4兆6,387億円、社員数約19万7777人という巨大な規模を誇る。

 現在、国内リージョンを担うNTTデータ(売上高1.76兆円)と、海外リージョンを担うNTT DATA, Inc.(売上高2.65兆円)が強力に連携し、国内外のデータセンター投資を積極的に推し進めている。

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【画像付き記事全文はこちら】
NTTグループにおけるNTTデータの位置づけ
(出典:NTTデータ)

 国内においては、自社保有として国内最大規模となる13拠点のデータセンターを展開している。具体的には、東京エリアに7拠点(大手町、品川、三鷹2棟、三田、大森山王、葛西)、さらに名古屋(伏見・葵)、大阪(堂島)、広島(比治山)、福岡(博多駅前)、千葉(千葉ニュータウン)と、日本全国の主要都市を網羅している。

 加えて、今後の爆発的な需要増を見据え、大規模な新規建設ラッシュが進行中だ。グループのNTT Global Data Centers(NTT GDC)では、2026年2月竣工の「京阪奈OSK11データセンター」(京都府精華町、IT電力容量30MW)を皮切りに、2027年3月には「東京TKY11データセンター」(千葉県白井市、50MW)、2027年度には「大阪OSK12データセンター」(大阪府茨木市、1期棟36MW)、さらには2028年度竣工予定の「栃木TCG11データセンター」(栃木県栃木市、1期棟100MW)と、メガワットクラスの巨大インフラ投資が目白押しとなっている。

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NTTデータ国内データセンター
(出典:NTTデータ)

 一方、グローバル視点のおいてもグローバル展開も担うNTT GDCの事業規模は世界有数だ。2026年3月時点(計画含む)でのグローバル全体のIT電力容量は、稼働中が約1630MW、計画中が約770MWに達し、合計で2400MWを超える規模となる。

 地域別に見ると、北米を中心とするAmericas(ヒルズボロ、ダラス、アッシュバーンなど)で稼働中675MW・計画中370MW、欧州・アフリカをカバーするEMEA(ロンドン、フランクフルト、パリ、ヨハネスブルグなど)で稼働中430MW・計画中260MW、日本を含むAPAC(シンガポール、ジャカルタ、サイバージャヤなど)で稼働中100MW・計画中60MWを誇る。

 特にITインフラ需要が急増しているインド市場(ムンバイ、ベンガルール、チェンナイなど)においては、需要の高さと建設単価の優位性を背景に、稼働中425MWに加え80MWを計画し、トップグループとしてのポジションを確固たるものにしている。

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NTTデータグループのグローバルでのデータセンター展開
(出典:NTTデータ)

 これらグローバルのデータセンター事業者の中で、NTTデータの最大の強みは「ファシリティ(箱物)」と「アプリケーション(システム)」の双方を熟知している点にある。ハイパースケーラー向けの単なるスペース貸しにとどまらず、50年以上に渡って国内のミッションクリティカルシステムを安定運用してきた実績とノウハウを生かし、システムインテグレーション(SI)までを一気通貫の「フルスタック」で提供できることが、同社ならではの独自の価値を生み出している。

 将来的には、この国内で培ったフルスタック提供の強みをグローバル展開における強力な差別化要素として強化していく方針だ。

 それでは、発熱量の劇的な増加に対し、具体的にNTTデータはどのような冷却技術の革新を進めているのか、詳しく見ていきたい。

【課題1】電力爆増どう抑える?先を行く…液浸・水冷戦略

 データセンター業界には今、地殻変動とも言える大きな波が押し寄せている。エヌビディア製などの最新GPUサーバをはじめとするAIサーバの導入拡大による、消費電力と発熱量の劇的な増加だ。従来のラックマウント式の標準的な空冷設計、いわゆるユニバーサルな設計では、もはや冷却が追いつかず、スペースに対する消費電力の要件もかつてないほど厳しくなっている。

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