• 2026/08/14 13:25 掲載

培養「ミニ脳」がAIを超える?ニューロンで動く「生物コンピューター」の衝撃

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「ミニ脳」と呼ばれる脳オルガノイドや培養神経細胞を、計算機として使う研究が進んでいる。培養神経は、限られた実験で少ない試行から学ぶ性質を示している。
 米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究室が1個あたり約500万個の細胞を含む脳オルガノイドを培養し、ジョンズ・ホプキンス大学でも生物計算の研究が進んでいることが明らかになった。脳オルガノイドは、幹細胞から作る脳の一部の構造や機能を模した3次元の細胞組織で、人間の脳そのものではない。サンディエゴ校のオルガノイドでは、約500万個の細胞のうち約250万個がニューロンだという。

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【図版付き記事はこちら】
倫理面で大きな課題が残る
(画像:本文をもとに生成AIで作成)

 同校は2025年8月、グラフェンを使って脳オルガノイドを刺激し、ロボットと閉ループで接続する実証を公表した。ロボットが障害物を検知するとオルガノイドに信号を送り、返された神経活動を基に進路を変える仕組みで、ループは50ミリ秒未満で完了した。3次元の脳オルガノイドを機械の制御につないだ実験である。

 一方、コーティカル・ラボ(Cortical Labs)が使うのは脳オルガノイドではなく、シリコンチップ上に培養した平面状の神経細胞である。神経科学(ニューロサイエンス)分野で著名な米学術誌ニューロンの2022年の論文では、ヒトまたはマウス由来の神経細胞をゲーム「Pong」の仮想環境につなぎ、5分以内に見かけ上の学習が確認されたと報告した。

 さらに2025年には、DishBrainの培養神経とDQN、A2C、PPOという3種類の深層強化学習を比較した査読論文を発表した。約70回のゲーム、20分相当という限られた条件では、培養神経のほうが複数のゲーム指標で高いサンプル効率を示した。ただし、これはPongという単純な課題での比較であり、LLMやニューラルネットワーク全般を上回ったことを意味しない。

 脳オルガノイドを計算に使う構想は、2023年に研究者らが「オルガノイド・インテリジェンス(OI)」として提唱した。論文は高速な意思決定や継続学習、データ・エネルギー効率への期待を示しているが、将来の可能性として提示したものだ。

 2026年7月に「Nature Computational Science」に掲載されたレビューも、OIを新たな計算研究のフロンティアと位置づける一方、技術、生物学、倫理面で大きな課題が残ると指摘している。

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