- 2026/08/14 13:25 掲載
培養「ミニ脳」がAIを超える?ニューロンで動く「生物コンピューター」の衝撃
同校は2025年8月、グラフェンを使って脳オルガノイドを刺激し、ロボットと閉ループで接続する実証を公表した。ロボットが障害物を検知するとオルガノイドに信号を送り、返された神経活動を基に進路を変える仕組みで、ループは50ミリ秒未満で完了した。3次元の脳オルガノイドを機械の制御につないだ実験である。
一方、コーティカル・ラボ(Cortical Labs)が使うのは脳オルガノイドではなく、シリコンチップ上に培養した平面状の神経細胞である。神経科学(ニューロサイエンス)分野で著名な米学術誌ニューロンの2022年の論文では、ヒトまたはマウス由来の神経細胞をゲーム「Pong」の仮想環境につなぎ、5分以内に見かけ上の学習が確認されたと報告した。
さらに2025年には、DishBrainの培養神経とDQN、A2C、PPOという3種類の深層強化学習を比較した査読論文を発表した。約70回のゲーム、20分相当という限られた条件では、培養神経のほうが複数のゲーム指標で高いサンプル効率を示した。ただし、これはPongという単純な課題での比較であり、LLMやニューラルネットワーク全般を上回ったことを意味しない。
脳オルガノイドを計算に使う構想は、2023年に研究者らが「オルガノイド・インテリジェンス(OI)」として提唱した。論文は高速な意思決定や継続学習、データ・エネルギー効率への期待を示しているが、将来の可能性として提示したものだ。
2026年7月に「Nature Computational Science」に掲載されたレビューも、OIを新たな計算研究のフロンティアと位置づける一方、技術、生物学、倫理面で大きな課題が残ると指摘している。
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