- 2026/08/20 06:50 掲載
【比較】三菱重工・IHI・川崎重工、実はドル箱「航空エンジン特需」の勝ち組はどこか(4/4)
IHI圧勝?「航空エンジン争奪戦」の勝者はどこか
ポイントは、新製エンジンだけではなく、その後に発生するスペアパーツや整備需要を抱えていることだ。同社が示す収益イメージでも、第1世代エンジンの収益に第2世代を積み上げ、その先では第3世代エンジンの技術開発を進める構造になっている。アフターマーケットは既存エンジンの累積出荷台数が増えるほど収益機会が広がるため、航空需要の拡大を長期にわたって取り込める可能性がある。
ただし、「IHIの圧勝」と結論付けるのも早い。
三菱重工には民間航空エンジンの新製・整備だけでなく、防衛・宇宙まで含めて需要を取り込める総合力がある。第1四半期でも航空・防衛・宇宙セグメントは増収増益となり、民間機も出荷増の恩恵を受けた。
川崎重工も2027年3月期に航空宇宙システムで前期比1,064億円の増収を計画。航空機需要と防衛需要が同時に膨らむ局面では、この事業領域の広さが武器になる。
そして、その先に控えるのが次世代エンジンだ。IHIなどが参画する日英伊の次期戦闘機「GCAP」では、2026年7月、エンジン実証機の地上試験に向けた開発が前進したと発表された。IHI、英ロールス・ロイス、伊アビオ・エアロの3社が共同で次世代エンジンシステムの開発を進めている。
民間航空機だけでなく、防衛航空機でも長期の開発・製造・整備需要を獲得できれば、航空エンジンは日本の重工各社にとって一段と重要な収益源になる。
つまり、足元の決算で最も「航空エンジン企業」らしい成長を見せるIHI、主要部位の製造とMROに加えて航空・防衛・宇宙全体を抱える三菱重工、航空宇宙システム全体の拡大で需要を取り込む川崎重工という構図だ。
航空機は一度売れば終わりではなく、エンジンも一度納入すれば終わりではない。新製からスペアパーツ、MRO、そして次世代機へ。長期間にわたる収益の連鎖をどこまで自社に取り込めるか。航空エンジン争奪戦の勝者を決めるのは、目先の売上高以上に、この「長く稼げる仕組み」を握っているかどうかになりそうだ。
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