- 2026/09/15 06:50 掲載
廃業寸前→売上10倍「鯱もなかの秘密」、14万件投稿して分かった「X運用5つのコツ」(2/2)
「優しさ」だけでは伸びない時代でも「Xを伸ばす」には?
「界隈がすごく分かれるようになりましたし、見たくなくても伸びている投稿が勝手に流れてくる。3、4年前は、周りの企業公式アカウント同士の優しさだけでも伸びていました。でも今は、その優しいアカウントが表示されなくなっていく。いないのと同じになってしまうんです」(古田氏)
注目を引く投稿を意図的に仕掛けなければ埋もれてしまう。かといって、話題を集めるために炎上を招きかねない表現には慎重だ。規模が小さいうちは自分がすべての責任を取れたが、店が大きくなるにつれ、表現は少しずつマイルドにせざるを得ない。そのバランスに悩みながらも、古田氏がよりどころとするのは、ひたすら続けてきたという事実である。
「動かぬ証拠として、これですよね。リプライも含めてですが、14万4000ポスト。5年足らずで、これだけやってきたんです」(古田氏)
膨大な投稿を重ねる中で、伸びる投稿の型が見えてくる。それに乗る発想も、いいねを得る仕掛けも、地道な蓄積から生まれてくるという。
たとえば2022年5月に「和菓子離れ」がXのトレンドに上がったタイミングで、そのキーワードタグを用いて創業以来の看板商品が廃業の危機に瀕していることを告白しつつ、それでも続けていくという決意を投稿した。これが大きなバズを生み、全国から応援の声が寄せられた。
このように日々アンテナを張り、伸びている波を見極めてすかさず乗る。こうした瞬発力もまた、14万件という試行の量に裏打ちされたものだ。
担当者“必見”、SNS強化に「超重要な初動」とは
中でも同氏が重視するのが、自分から“絡みに行く”姿勢だ。
「アカウントが小さいうちは、こちらから絡みに行くことが大事かもしれません。企業公式アカウントは大小問わず助け合いだと思っているので、毎日あいさつに来てくれるアカウントは大事にしますし、認知してもらえる。だから、大きなアカウントに最初から絡みに行ってみるんです」(古田氏)
実際、鯱もなかも数万フォロワーを抱える地元企業のアカウントなどに引き上げてもらい、そこから広まっていったという。運用者同士、毎日やり取りする相手だと認識してもらえれば、キャンペーンの際に拡散を手伝ってもらえることもある。
当初は大きなアカウントがキャンペーンを告知した際に引用リポストで応援し、そのお返しに自社の投稿を広げてもらう。こうした地道な積み重ねが、初動を左右するのだ。
「反応がつき出すと面白くなってきて、続けられるようになります。一社員が担当する場合でも、これだけリプライがついて交流しているという事実は、1つの成果指標になりますし。それがないと、どれだけ投稿してもどこかで心が折れてしまいますから」(古田氏)
フォロワー数やインプレッションだけでなく、交流の量もまた立派な指標になると、古田氏は捉えている。数字に表れにくい日々のやり取りこそが、担当者のやりがいを支え、運用を継続させる燃料になるからだ。
初動を大きくし、やりがいを生み、続けられる状態をつくる。古田氏のSNS論は、テクニック以上に「いかに続けるか」という1点に収れんしていく。もちろん、古田氏の「14万投稿」という圧倒的な量を、そのまままねする必要はない。重要なのは投稿数そのものではなく、担当者が反応や交流に手応えを感じ、無理なく運用を続けられる状態をどうつくるかだろう。
廃業寸前の老舗をよみがえらせた原動力は、派手なバズそのものではなく、それを支えた地道な日々の積み重ねにこそあった。
「中小企業を中心に、なかなか手を出せないでいる企業も多いかもしれませんが、せっかく無料でできるのですから、とりあえずやってみてはと思います。SNSで成果を出すための答えも、案外そのシンプルな一歩にあるのかもしれないのです」と古田氏は強調した。
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