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- 2023/03/13 掲載
AI搭載Bingが中学生以下の計算間違い?その「不完全さ」に見えた“見事な対応力”とは
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
新生Bingを実際に使ってみた
マイクロソフトは対話型生成系AI技術を搭載したBingの新バージョンを2月22日に公開し、世界中の注目を集めている。私もさっそく、使ってみた。知りたいことに適切に答えてくれる。次の質問の候補を出してくれるので、対話を深めていくことができる。どんな使い方ができるだろうかと色々試している途中で、大変残念なことに、計算問題でつまずく場合があることを見つけてしまった。
連立方程式「x+y=6、2x+y=2」を解いてほしいと尋ねたところ、x=2、y=4という誤った答えを出した(実際の答えはx=-4、y=10)。消去法で解こうとして、その過程を示しているのだが、途中の計算を間違えているのだ。
答えが間違っていると指摘したところ、間違いであることを認めた。しかし、再計算した答えはx=4/3(3分の4),y=-2/3(-3分の2)で、まだ間違っている。間違っていることを指摘すると、対話は中止された。
Bingの間違った答えを巡って「押し問答」
前項の間違いを見いだしたきっかけは、ツルカメ算の計算でBingが間違えたことだ。「ツルカメ算を解く方法を教えてください」と尋ねたところ、Bingはツルとカメで8匹、足の数の合計が26本という例を出して、解き方を示した。しかし、ツルは5.5匹、カメは2.5匹という答えを出したのだ!(実際の答えはツルが3匹、カメが5匹)これに対して、「ツル、カメの数は整数でなければならない」と私が指摘したところ、Bingは誤りを認めた。
これから後のやり取りは相当複雑で、Bingの答えをそのまま示さないとフォローしにくいかもしれないが、ここでは概略を示す。次の通りだ。
それに対して私は、先の問題での足の数26本は、2で割り切れるので、Bingの言う条件を満たしていると指摘した。
Bingは、26は4で割り切れないと言う。私は、示された条件は「または」なのだから、2で割り切れれば良いと指摘する。Bingは、26は4で割り切れないことを繰り返して、対話は中止された。
誤解のないように注記したいのだが、私は、Bingのアプローチを批判しているのでなく、評価している。 【次ページ】使ってみてわかった、Bingの「真の凄さ」
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