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- 2024/05/16 掲載
その手があったか!急成長「Temu生みの親」らが編み出した、超合理的な「潔すぎるUI」
「UI/UX改善は“儲け”に直結」中国企業の根底にある認識
UI(ユーザーインターフェース)とは、ウェブ、アプリなどのボタンなどの操作部品の静的なデザインのこと。一方、UX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザー体験)とは、ユーザー導線を考慮した使いやすさという動的なデザインのことだ。UIとUXは不可分のものであることから、「UI/UX」と組にして使われることも多い。わかりやすく言えば、UIは見やすくするためのデザイン、UXは使いやすくするためのデザインのことだ。
優れたUI/UXは、サービスが使いやすくなり、ユーザーの離脱率が下がるため、コンバージョン(成果)が上がる。平たく言えば、収益を増やしてくれる重要な要素なのだ。
アリババのようなビッグテックで、UI/UXを改善して、コンバージョンを1%改善したとすると、その増収額は莫大なものとなり、エンジニア/デザイナーには財産級の報奨金が支給されることになる。そのため、エンジニアやデザイナーたちは、改善できるところはないのかとウの目タカの目で探しているようなところがある。UI/UXの改善は売上につながり儲かる、その認識が中国企業では定着している。
ECなのに「カート」ボタンがない超合理的な理由
激安ECとして話題の「Temu」(ティームー)の運営会社である「拼多多」(ピンドゥオドゥオ)は、ECであるのにショッピングカートの機能がない。拼多多は多数の販売業者が出店している市場(いちば)形式のECであるため、商品ごとに購入、決済するほうがメタファーとして自然だからだ。ショッピングカート機能は、スーパーマーケットのアナロジーだが、拼多多は当初地方都市の利用者をターゲットにしていたため、ショッピングカートになじみがない人が多いということもあった。
カートに商品を追加しても、そのままにして買わないというケースがある。また、少しでも気になる商品は次々とカートに入れ、最後にカート内の商品一覧を見て、本当に買うものだけをチェックして注文するという人もいる。その結果、カートには入れられたものの、そのまま放置や削除されてしまう商品がある。このような商品の割合が「カゴ落ち率」と呼ばれる。
このカゴ落ち率はどのくらいあるのか。デンマークのByamard研究所が、ECのさまざまな報告書49編を調査したところ、カゴ落ち率は単純平均で70.19%にもなった。
つまり、10個の商品がカートに入れられ、7つは放棄され、3つしか実際には買われないということだ。
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