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- 2025/06/02 掲載
Deep Researchで「大失業」時代に突入? むしろ「人の役割が大きくなる」と言えるワケ
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
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Deep Researchで「人間不要」の時代がついに到来か…?
ChatGPTの新しいサービス「Deep Research」が利用可能となっている。問題を提示すれば、Webをリサーチして必要なデータを集め、分析して、レポートにまとめてくれる。ChatGPT以外にも、グーグルのGeminiなどが、Deep Researchのサービスを提供している。こうしたサービスによって、データをそろえたレポートをごく簡単に作成できるようになった。これまでであれば、さまざまな資料やデータを探し、それらを分析し、レポートにまとめるのに何日もの作業が必要であった。それが、Deep Researchを利用すれば、5~10分ほど待つだけで、レポートが出来上がる。
私は、こうしたサービスが出現することに対して、非常に強い危機感を持っていた。人間の分析者が長い時間をかけてやっていることをAIが短時間でやってしまえば、レポートの作成者は不要になってしまうからだ。
それだけではない。刊行物や雑誌なども不要になってしまうだろう。データを必要とする人は、刊行物や雑誌記事などを見る必要はない。ChatGPTに「Deep Research」のレポートを作ってもらえば、それで済んでしまうように思われるからだ。
こうした危機感をChatGPTが登場した2022年の時点で、私に限らず、多くの人が持っただろう。ただそれが実現するのは、ずっと先の未来のことだと思っていた。その当時のChatGPTの能力では、とてもこのような作業は行えなかったからだ。
だから多くの人々は、人間の分析者が不要になる時代がいつかは来るとしても、自分には関わりのないことだと思っていた。しかしDeep Researchを使ってみて、そうではないことを実感することができた。 【次ページ】人間の役割は「むしろ大きくなる」と言えるワケ
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