• 2026/04/28 掲載

「AI導入」で負ける企業は何が違う? ベイン日本代表が突きつける“残酷な差”

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AI時代の競争は、単なる技術導入の勝負ではない。何を優先し、どこに集中し、どの業務を再設計するか。つまり経営の勝負である。前編で見てきたのは、AI時代に日本企業がつまずく“残酷な構造”だ。だが、話はここで終わらない。強みが弱みに反転してしまった日本企業が、それでも大逆転して勝てる領域はどこにあるのか? 後編では、経営者が明日から変えるべき「具体的なアクション」の全貌に迫る。
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ベイン・アンド・カンパニー
日本代表
デイヴ・マイケルズ氏

日本が世界で勝てる2つの領域

 人口減少、経営層の高齢化、失敗回避型のリーダーシップ。日本企業を取り巻く条件は決して楽観できるものではない。それでもマイケルズ氏は、日本企業がAI時代に勝負できる領域があると見る。

 その1つ目が、ソフトウェアとハードウェアの融合だ。

「自動車、重機、工場、ロボット──歴史的に日本は、テクノロジーを産業用途やハードウェアに組み込むことに長けてきた。AI時代においても、これは非常に大きなチャンスだ」(マイケルズ氏)

 純粋なソフトウェア競争では、米国や中国の企業が強い領域も多い。だが、現実の機械、設備、製造現場、物流網とデジタルを結びつける領域では、日本企業には長年の蓄積がある。AIエージェントが物理世界と接続し、工場や車両やロボットを動かす未来において、この強みはむしろ再評価される可能性が高い。

 日本企業は、ハードの知見と現場改善の文化を持っている。そこにAIを組み込めれば、単なるソフト開発競争とは違う土俵で勝負できる。これは製造業だけの話ではない。金融や小売、物流でも、リアルな業務プロセスとAIを結びつける力が差別化につながる可能性がある。

 2つ目の領域は、「おもてなし」に代表される顧客サービス志向だ。テクノロジーが進化すればするほど、人間の行動や感情を理解する力の重要性は増す。AIが一般化するほど、最後に差がつくのは、顧客の文脈を読み取り、細かな体験価値を設計できるかどうかになる。

 多くの日本企業は、この点で独特の強みを持つ。単なる効率ではなく、相手の気持ちを先回りして考える、運用レベルで細部を詰める、サービス品質を高く保つ。こうした文化は、AI時代にも十分に競争力になりうる。ただし、ここでも条件がある。強みを持っているだけでは勝てない。強みを市場で使える速度に変換できなければ意味がない。AI時代に勝ち筋を見いだせていない日本企業に足りないのは素材ではなく、その素材を競争力に変える経営の回転数なのである。 【次ページ】経営者が明日から変えるべき3つのこと
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