- 2025/12/25 掲載
三菱UFJ銀行、ビッグデータ基盤 OCEAN に Private AIによるデータ秘匿化ソリューション正式採用
非構造化データを安全にAI分析に活用、生成AI活用とデータ保護の両立を図る
三菱UFJ銀行の全社データ基盤「OCEAN」は、行内に分散して存在していた顧客データや取引データ、業務データなどを一元的に集約・管理するために構築された統合データ基盤。厳格なアクセス制御やデータガバナンスを前提に設計されており、個人情報保護や金融機関として求められる高いセキュリティ水準を維持しながら、データ分析やAI活用を全社横断で進めることを目的としている。これまで主に構造化データを中心に活用されてきたが、近年は生成AIの業務利用拡大を背景に、非構造化データも含めた幅広いデータ利活用基盤として位置づけられている。
非構造化データはこれまで、テキストや画像、ログ情報など構造化されていない形式で存在するため、個人情報保護やデータガバナンスの観点から扱いが難しく、分析やAI活用の障壁となってきた。三菱UFJ銀行は、Private AIのソリューションを用いることで、リアルタイムにオンプレミスや閉域環境内で個人情報を秘匿化し、クラウド送信を必要とせずに処理できる点を評価したとしている。これにより、OCEANの厳格なデータガバナンス体制を維持しながら、非構造化データを含む多様な情報の利活用を進めていく方針だ。
導入にあたっては、技術検証を実施し、実運用を想定した多様な非構造化データを対象に評価を進めた結果、氏名、住所、電話番号、口座番号、保険証番号といった金融機関で特に重要とされる情報カテゴリについても高精度な匿名化性能が確認されたという。これにより、全社横断のデータ分析や生成AIを用いた業務プロセスの高度化が、安全性を担保したうえで可能になると説明している。
三菱UFJ銀行は今回の取り組みを契機に、コールセンター業務の高度化、不正検知やリスク管理の強化、社内ナレッジの活用促進など複数の領域への展開を予定しているとされる。これらの施策は、個人情報保護法や金融業界に求められる厳格なデータ管理要件を満たしつつ、生成AIを含む高度なデータ利活用の拡大を図るものと位置づけられている。
この発表は、国内金融機関が生成AIを安全に導入・活用するうえでの新たな方向性を示す取り組みとして注目されている。非構造化データの安全な活用は、AIによるサービス改善や業務効率化の鍵とされる一方で、個人情報保護とのバランスが重要な課題となっていた。三菱UFJ銀行のケースは、こうした課題に対して技術的な解決策の適用例として評価される可能性がある。
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