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  • 2023/12/07 掲載

「顧客のデジタルツイン」とは何か?2つの施策パターン、エヌビディアら先進事例を解説

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現実世界を仮想空間上に再現する「デジタルツイン」の利用が本格化している。これまでは、モノや建物、都市などを仮想空間上に再現してシミュレーションなどに活用する例が目立っていたが、現在新たに注目され始めているのが「顧客のデジタルツイン」だ。新たな顧客体験価値を生むという「顧客のデジタルツイン」とは何か。ガートナー ディスティングイッシュト バイスプレジデント,アナリストのドン・シャイベンライフ氏が、最新の活用事例とともに活用のポイントを解説する。

執筆:フリーライター 岡崎勝己

執筆:フリーライター 岡崎勝己

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「顧客のデジタルツイン」とは何か?
(出典:Gartner(2023年11月))

活用広がり始めた「顧客のデジタルツイン」とは?

 企業でのビッグデータの蓄積を背景に、本格的な普及期に差し掛かりつつあるのが、収集されたデータを基にデジタル世界でリアル世界に限りなく近いシミュレーションを行う「デジタルツイン」だ。


 デジタルツイン活用のメリットは多岐にわたる。

 たとえば、製造ラインの見直し時においては、デジタルツインで事前確認にすることにより、運用の前段階で課題の洗い出しが可能となる。IoTデバイスが収集するリアルタイムデータの活用を通じて、商品の故障予測も格段に高められ、いち早いアフターフォローを通じた顧客満足度の向上も見込むことができる。デジタルツインの用途は、まさにアイデア次第と言えるだろう。

 ガートナー ディスティングイッシュト バイスプレジデント,アナリストのドン・シャイベンライフ氏は、デジタルツイン活用の機運が高まっている背景には、要素技術の成熟も大きく影響していると指摘する。

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ガートナー
ディスティングイッシュト バイスプレジデント,アナリスト
ドン・シャイベンライフ氏

 プロセスや組織のシミュレーションのための「分析AI、生成AI」、ビジネスプロセスやフィールドサービスを管理する「BPM、FSM(Field Service Management)」、データ収集のための「IoT」、デジタル空間そのものと、その中でも対象物の設計のための「CAD、CAM、BIM」などが代表だ。

 シャイベンライフ氏は、「そうした状況下で、これまでなかったデジタルツイン活用が広がり始めています」と説明する。それが「顧客のデジタルツイン」だ。

 ガートナーでは、顧客のデジタルツインとは「顧客の行動の再現と予測に使用することを目的にした、デジタルと物理の双方向のインタラクションから作成された顧客の動的な仮想表現」と定義する。

「顧客のデジタルツイン」施策、主な取り組みパターン

 企業が「顧客のデジタルツイン」を欲する理由は明らかだ。その利用を通じ、顧客の行動や思考などのパターンのより精緻な把握が可能となり、顧客との関係性の強化や利益向上のための各種施策の立案につなげられる。

 それのみならず、「実は顧客も、自身のデジタルツインを欲するようになっています」とシャイベンライフ氏は語る。

「その最たる理由は、自分に合致したレコメンドやコンシェルジュなどの、パーソナライゼーションされた商品やサービスを享受することによる顧客自身の満足度の向上です。自分でデジタルツインを持ち、適宜提供することで、自分を企業に容易に理解してもらえ、自分で管理すれば秘匿したいデータの制御も容易です」(シャイベンライフ氏)

 顧客のデジタルツインの活用に向けたアプローチは、従来のデジタルツインと同様だという。

 スマートウォッチやスマホなどが搭載するセンサーでできる限り多くのデータを収集し、それらとビジネスで生じるオペレーショナルデータとを突き合わせて洞察を獲得。そのうえで、シミュレーションにより洞察を多角的に検証し、妥当性の確認後、洞察を各種の施策に落とし込む。

 施策は次の2つに大別できる。顧客との関係性強化に寄与する製品やサービスの提供と、顧客に提供する商品をより良いかたちでカスタムする取り組みだ。前者は間接的な、後者は直接的な売上向上の手法となる。

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「顧客のデジタルツイン」を施策に落とし込む際の主なパターン
(出典:Gartner(2023年11月))

 シャイベンライフ氏によると、顧客のデジタルツインの活用シナリオは、「B2C(Business to Consumer:消費者向け)」「B2B(Business to Business:企業間)」「G2C(Government to Consumer:住民への行政サービス)」のそれぞれで拡充が進んでいる最中だという。 【次ページ】B2C・B2B・G2Cですでに実用段階に、各先進事例を解説

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