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  • 2024/03/13 掲載

なぜBYDは世界を獲れた?「BYD・テスラ・VW」3車分解比較で判明、圧倒的コスパの秘密

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EVの販売台数でテスラ超えを果たした中国自動車大手のBYD。同社に関して、スイスの金融機関UBS傘下のUBSエビデンスラボが衝撃的なレポートを公開している。同レポートではBYD、テスラ、フォルクスワーゲンの3車種を分解検証し、そのコスト構造を明らかにするとともに今後の欧州EV市場を予測している。徹底検証で明らかになった、BYDの強さの秘訣、そして日本であまり報じられていない、BYDのさらなる躍進の可能性とは。
執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

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UBSが3車種の分解検証結果から導き出した、BYDの強さの秘訣、さらなる飛躍が見込める市場とは
(Photo/haryanta.p/Martin Chavez/Maksim Ladouski/Shutterstock.com)

爆速成長中のBYD、欧州市場でさらなる飛躍の予測

 中国の自動車大手BYDのEVが日本でも徐々に売れ始めている。特に2023年9月にDOLPHIN(ドルフィン)を投入後、11月には月間登録台数が初めて200台を超えた。対抗する日産リーフは少ない月でも400台を割ることはなく、2023年は1万26台を販売しているため、まだまだ差は大きいが、BYDが追いついてくる可能性もある。

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BYDの2車種と日産リーフの新車登録台数の推移。BYDは2023年9月にDOLPHINを投入して以来、販売台数が上向いている。2024年春には日本でもSEAL(シール)の販売が開始予定
(出典:日本自動車販売協会連合会)

 躍進を続けるBYDが、さらに大きく飛躍をする可能性があるのが欧州市場だ。

 スイスの金融機関UBS傘下のUBSエビデンスラボが、衝撃的なレポート「BYD teardown:Will Chinese EVs win globally?」(BYD分解検証:中国EVはグローバルで成功できるか?)を公開している。

 このUBSの予測によると、現在のシェアが3%である中国メーカーは2030年には20%にまで飛躍をするという。フォルクスワーゲン(VW)、ルノーなどのグローバルメーカーは欧州市場でのシェアを現在の95%から70%にまで落とし、グローバルサプライヤーとともに大きな打撃を受けるという内容だ。

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USBが予測した2030年の欧州市場シェア(上段)、世界市場シェア(中断)、中国市場シェア(下段)。中国メーカーとテスラが大きく躍進し、既存メーカーは大きくシェアを落とすことになる
(出典:UBSエビデンスラボ「BYD teardown:Will Chinese EVs win globally?」)

 UBSエビデンスラボでは、過去、テスラのModel 3、VWのID.3を分解して検証した実績があり、今回、BYDの「海豹」(SEAL:シール)を分解して検証を行った。製造コストを比較した結果、BYDを始めとする中国メーカーが大きく躍進すると予測をしたのだ。この予測が現実のものとなると、自動車産業界は大きな戦略変更、再編などを迫られることになる。

実は再エネ大国の中国、EV化率では欧州上回る

生成AIで1分にまとめた動画
 EVがエコであるかどうかについてはさまざまな見方があるが、求められているのは「温室効果ガスを排出しないゼロエミッション車」であり、EVが最終的な解決策であるかどうかはともかく、当面はEVシフトが進んでいかざるを得ない。

 欧州では発電の脱炭素とEVシフトをセットで進めており、EUでの化石燃料による発電割合はすでに35.9%にまで小さくなっている。2022年のEV化率は17%。

 2035年にはガソリン/ディーゼル車の販売が禁止され、それ以降は、温室効果ガスを排出しない自動車しか販売できなくなる。

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2022年のEU全体の発電割合。化石燃料を使った発電(ガスと石炭)は合計で35.9%にまで減少している。この割合をさらに落とし、自動車もEVに転換をしていくのがEUの戦略だ
(出典:Ember「European Electricity Review 2023」)

 つまり、発電でも自動車でも温室効果ガスを出さないという世界観を描いている。これを背後から追いかけているのが中国だ。

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2023年の中国の発電設備容量の割合。設備容量であるため、実際の発電内訳とは異なるものの、化石燃料が初めて50%を切った。太陽光発電が急速に伸びている
(出典:国家エネルギー局)

 2023年、中国は発電設備容量で初めて火力が50%を切った。これは発電設備容量の統計であり、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは容量100%の発電ができるわけでないが、それでもこの数年、中国は猛烈な勢いで太陽光発電を増やしている。EV化率は欧州を上回る25%。今後、国際的な環境会議でも中国の発言力が増していくこともあり得る。

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次ページでは、BYDのSEAL、テスラのModel 3、VWのID.4の3車分解比較の詳細を解説
【次ページ】BYD・テスラ・VWの3車分解比較で分かったBYDの勝因

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