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- 2024/09/02 掲載
600人調査で判明「DX担当者のガチ悩み」、頑張ってるけど…成果出にくい「ある領域」
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
「DX」という言葉の認知度は?
INDUSTRIAL-Xが「DX推進における課題と意向調査」を2020年から毎年継続して実施している目的は、企業におけるDX推進状況の変化を明らかにすることにあります。本調査は、調査モニターを用いたインターネット定量調査にて2024年6月に実施し、大手・中堅・中小企業ごとに206名ずつ合計618名(昨年2023年も合計618名)から回答を得ました。本調査のうち、DXの認知に関する調査結果を見ると、DXの内容まで知っている人は43.9%であり、2021年(17.6%)、2022年(32.8%)、2023年(36.1%)と比べ、年々増加しています。
一方、「初めて聞いた/知らない」または「単語を聞いたことがある程度」の合計が2021年は80%を超えていましたが、2022年は67.2%、2023年は63.9%、2024年は56.1%と年々減少しています。DXに関する認知・理解が年々進んできていると言えるのではないでしょうか。
DXに取り組む日本企業の割合、意外と多い「やってない企業」
DXへの取り組み状況について、2023年上半期(当時を振り返る形で回答)と現在(2024年6月)それぞれについて回答を得た結果を見ると、DXに取り組んでいる企業の割合は2023年と比べて増加していることがわかります。2023年の時点でDXに取り組んでいた企業の割合(「全社的に取り組んでいた」、「各部署ごとに取り組んでいた」、「一部の部署だけで取り組んでいた」の合計)は55.8%ですが、現在取り組んでいる企業は57.9%であることから、2023年に比べるとわずかですがDXの取り組みが広がっていることが分かります。
また、「全社的に取り組んでいる」企業の割合が、23.3%から27.5%と4.2ポイント増加しており、これまでは各部署ごと、または一部の部署で推進されていたDXの取り組みが、全社的な取り組みに広がっていることが推察できます。
一方で、取り組んでいない企業は減ってきているものの、40%強あります。
今後はDXに取り組んでいる企業と取り組んでいない企業の間での格差が広がっていくことが考えられます。
日本企業が考える「DXの目的」、1番多かった回答とは
DXへの取り組みと狙いについて、2023年上半期時点と現在それぞれについて回答を得た結果を見ると、いずれも最も多いのは「コスト削減」(2023年 67.8%→2024年 63.1%)となっており、2020年の調査開始から5年連続でトップになっています。続いて多いのは「品質・操業改善」(2023年 38.6%→2024年 36.6%)となっており、こちらも5年連続でトップ3に入っています。今でもなお、DXがもたらす効果は既存の業務プロセスの延長線上にあるものだと考えている日本企業が多いことを示していると考えられます。
一方、事業を成長させることに寄与する「新規事業拡大」(2023年 11.9%→2024年 15.6%)、「売上向上」(2023年 19.1%→2024年 22.3%)、「バリューアップ」(2023年 10.7%→2024年 13.1%)が大きく増加しており、「顧客獲得」(2023年 14.8%→2024年 15.1%)も微増、「ビジネスモデル変革」(2023年 16.8%→2024年 16.8%)も横ばいながらそれに近い値を示しています。
企業のDXへの意識は、既存ビジネスの延長線上での効率化を進めることだけでなく、事業を成長させることにも向きつつあることが伺えます。
成果が出ている領域は? 日本企業のDXの成果の状況
2023年上半期時点のDXへの取り組みと狙いに基づく成果に関する回答を見ると、改善が見られた割合(「抜本的かつ直接的に全社での改善が見られた」「直接的に全社での改善が見られた」の合計)は「テレワーク対応」が最も多く75.8%となっています。この領域の取り組みは、コロナ禍で、推進の必要性があったことなどもあり、急速に進み、その結果、全社での直接的改善がなされたと言えるのではないでしょうか。また、「売上向上」、「顧客獲得」、「ビジネスモデル変革」の改善が見られた割合も40%を超えていますが、「抜本的かつ直接的に全社での改善が見られた」割合は多くとも10%程度となっており、目先の必要に迫られたもの以外の、抜本的な改革が進んでいないことが推察されます。
一方、「バリューチェーン変革」の「抜本的かつ直接的に全社での改善が見られた」割合が20%を超えており、何らかしらの必要性に迫られ、抜本的改善を進めた企業が一定数存在することが推察されます。
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