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  • 2020/08/06

DX意識調査、コロナ後にDXの「目的」「課題」「重要指標」はどう変わったのか

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

2020年6月、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の支援、コンサルティングなどを行うINDUSTRIAL-Xは、「企業のDX実現に向けた課題とコロナ前後の意向に関する調査」の結果を発表しました。今回は、この調査で明らかになった、コロナ禍前後におけるDX推進の課題や新たに必要となる検討事項などについて、同社の代表取締役である八子 知礼氏に聞いた内容を交えて見ていきます。

東芝 福本 勲

東芝 福本 勲

東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター チーフエバンジェリスト
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長をつとめる。2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)正会員となり、エバンジェリストなどをつとめる。その他、複数の団体で委員などをつとめている。主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』『デジタルファースト・ソサエティ』(いずれも共著)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。

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コロナ禍により、DXの意識はどう変化したか
(Photo/Getty Images)


コロナ禍前後でDXへの意識はどう変化したか、INDUSTRIAL-Xが調査

 INDUSTRIAL-Xは、DX推進に必要なあらゆるリソースを最適かつワンストップで提供することによって、企業および自治体の次世代型事業への構造変革をスピーディに支援する「Resource as a Service(RaaS)」ビジネスを行っている企業です。DXで目指す姿を実現するためのコンサルティング、IoT・デジタルソリューションの目利きと導入、現場改革リーダとしてのプロジェクト参画、事業評価などについて、費用の払い方まで含めたサービスモデルを提供しています。

 同社がこの調査を実施した目的は、「コロナ禍において企業はデジタル化の促進をより一層求められている。“(これまでより)さらに多くの業務をリモート対応で完結させるなどDXを推進しなければ事業モデルが成立しなくなる”と考える経営者が増えているのではないか」という仮説を検証することでした。

 また、一方でDXになかなか踏み切れない企業もまだ多いはずであり、業界別・職位別などの観点から、どのようなことが課題となり得るのか、またコロナ禍の前後でそれはどのように変化しているのかを把握したいという思いもあったとのことです。

 調査手法はインターネット調査モニターを用いたインターネット定量調査、調査時期は5月28日〜6月1日、調査対象は「主任・係長」以上の役職に就く社会人で、大手・中堅・中小企業ごとに100人ずつ集計(N=300)です。


「コロナ以前には戻らない」が約6割、求められる変化

 調査ではDX 推進上の重要事項について、回答者全体の過半数にあたる59%が「コロナ禍前に事業が戻らない」ことを重要(「極めて重要」または「比較的重要」)と回答しています。日本の多くの企業は、ビジネスがコロナ禍前の元の姿には戻らないことを懸念していることが明らかになりました。

 「コロナ禍で急速にリモートワークが進み、従来と変わらない効率で業務が実現できている」という声や、人によっては「出勤時間や移動時間が無くなった分、従来以上の効率で業務が可能となった」という話も聞かれます。

 一方、人と人とのつながりが希薄になったり、業務によってはバーチャルによる疑似体験が実体験を充分に代替できるまで成熟していないといった課題があることも事実です。また、モノづくりのように、オフラインでなければ実施できない業務も変わらず存在します。

 しかし、コロナ禍において、これまで人が集まらないとできないと思われていたこと、たとえば、会議やコンタクトセンター業務、教育・セミナーや演劇・コンサートまでもが、一箇所に集まらなくてもオンラインで実現できることが証明され、出勤すること、集まること自体は必須要件ではないことも明らかになってきています。「コロナ禍前に事業が戻らない」という回答には、企業がすべての業務において人が集まることを前提とした運営を見直す可能性があることを示しているのではないでしょうか。

具体的なソリューションやセキュリティ対策へのニーズ増

 また、コロナ禍前とコロナ禍後のDX 推進上の重要事項について、重要と回答した割合を比較すると、「社員や顧客の健康配慮」「データ・セキュリティ対策」のほか、「進め方やアプローチ方法が明確」「具体的なソリューションが明確」がコロナ禍後に増加しています。

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※グラフの数値は、各項目についての重要度を4段階で聞いた回答のうち重要(「極めて重要」または「比較的重要」の合計)の回答者の割合
(出典:INDUSTRIAL-X「企業のDX実現に向けた課題とコロナ前後の意向に関する調査」)

 オンラインやリモートの対応が十分できていなかった企業は、コロナ禍により対応が急務となっており、「進め方やアプローチ方法が明確」であり、「具体的なソリューションが明確」なものを時間をかけずに導入したいという意識があるのではないかと考えられます。

 「社員や顧客の健康配慮」について重要と回答した割合が高いのは、金融・保険業、製造業、農林漁業、医療・福祉業といった業種です。人と人とが接触する業務割合が高い領域では、従来に増して健康・衛生管理に対する配慮が高まっている可能性があります。

 また、コロナ禍において、ホームワーク・オンライン会議時のセキュリティ確保、個人の行動追跡とプライバシーの両立などの課題への関心が高まり、「データ・セキュリティ対策」についての懸念も高まっているものと考えられます。

 さらに、「予算の確保ができている」という回答に着目してみると、経営者、役員クラスではコロナ禍前後ともに65%以上が重要と回答しています。“変化を起こすための取り組みには予算が必要”だと、以前から強く意識されていたことがわかります。

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※表の数値は、各項目についての重要度を4段階で聞いた回答のうち重要(「極めて重要」または「比較的重要」の合計)の回答者の割合
(出典:INDUSTRIAL-X「企業のDX実現に向けた課題とコロナ前後の意向に関する調査」)

 「コロナ禍前に事業が戻らない」ことについての重要度を業界別に見てみると、金融・保険業、製造業、農林漁業において「極めて重要」「比較的重要」の合計が高いことがわかります。

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(出典:INDUSTRIAL-X「企業のDX実現に向けた課題とコロナ前後の意向に関する調査」)

 金融・保険業はリーマン・ショックで過去に大きな影響を受けており、今回のコロナによる経済変動に対する感度が高いことが考えられます。製造業においては、グローバルサプライチェーンの分断などの影響が長引いていることが背景にあると思われ、農林漁業においては、出荷が滞り、廃棄ロスが多く発生しており、厳しい局面に立たされていることがその背景にあるでしょう。また、こういった仕組みの導入を推進する側である情報通信・IT業においても回答割合が高くなっています。

【次ページ】調査結果から見えてきた「最大の課題」とは

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