• 2026/04/23 掲載

ライザップが狙う建設業の空白地帯、日本で「ブルーカラービリオネア」は生まれるか?(2/2)

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それでも日本で「ブルーカラービリオネア」が生まれない理由

 一方、日本では同様の現象はいまのところほぼみられないと言ってよい。国交省の資料によると、建設業の年収額は432万円と、全産業の508万円よりも低い。背景には、業界特有の構造がある。

 日本の建設業は、元請け企業が工事を受注し、複数の下請け企業に業務を分配する多層構造をとる。この過程で中間マージンが発生し、最終的に現場で働く職人に届く報酬は圧縮される。階層が深いほど利益は分散し、個々の職人の収入に反映されにくい。こうした構造は長年にわたり維持されてきた。

 技能が高くても、価格決定権を持たない場合、報酬は上がりにくい。多くの職人は下請け企業に所属し、元請けの提示する単価に従う立場にある。そのため、個人の技術力が直接的に収入へ反映されないケースが多い。結果として、優秀な人材が業界外に流出する要因にもなっている。

 日本では施工品質の評価が曖昧で、技能の差が価格差として明確に表れにくい。工事は仕様書に基づき発注されるため、最低限の品質を満たせば同一価格で扱われることが多い。技能の高さを可視化し、価格に反映する仕組みが未整備であることが、賃金停滞の一因とされる。こうした構造が、ブルーカラーの高所得化を阻む要因となっている。

ライザップは建設業の根深すぎる課題に切り込めるか

 ライザップの参入は、こうした構造に変化をもたらす可能性がある。ただし、その影響は限定的にとどまるとの見方もある。

 ライザップが自社店舗で培ったモデルを外部に展開できれば、従来の下請け構造に依存しないビジネスが成立する余地がある。これは価格決定権の所在を変える試みともいえる。

 施工工程の標準化やデータ活用が進めば、作業効率の向上と品質の均一化が期待される。デジタル技術を用いて工程管理や資材調達を最適化することで、現場の生産性は向上する可能性がある。ただし、建設現場は個別性が高く、完全な標準化には限界があるのが現実だ。

 日本で技能職が高所得化するためには、いくつかの条件がそろう必要がある。第1に、価格決定権を現場に近い側へ移すこと。第2に、技能を可視化し市場で評価する仕組みを整えること。第3に、直接受注や独立を支える環境の整備である。ライザップの取り組みがこれらをどこまで実現できるかは不透明だが、建設業の構造に一石を投じる動きであることは確かである。

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