- 2026/06/10 掲載
ウソだろ…岐阜の小さな町工場に「AI社員」爆誕、Claude等でアプリ量産「神事例4選」(2/2)
【事例3】作業手順を動画で解説「多言語対応マニュアル」
「多言語対応マニュアル」は、工場の作業手順をテロップと音声で解説する動画を自動生成する仕組みである。日本語版を1つ作れば、指示1つで他言語に切り替えられるのは便利な点だ。田中氏は、Claude Codeで動画生成のコードを作成し、そのコードを基に動画を作成・編集できるRemotionと組み合わせることでこの仕組みを構築した。「文字アニメーションだけのシンプルな動画を作って」と指示するとベースとなる動画が生成され、そこに音声や字幕、多言語対応の機能を追加していく。
たとえば「ベトナム語版を出力して」と指示するだけで、映像はそのままにテロップと音声のみが切り替わる。従来のように言語ごとに動画を作り直す必要はない。
背景にあるのは、将来的な外国人採用への備えだ。田中氏は過去に日本語ボランティアに参加した経験から、言語の壁の大きさを肌で感じていた。厳しい採用状況が続く中で、外国人採用を優位に進めるためにも言語の壁を壊すことが重要だ。
「型の決まった解説動画であれば、実務レベルのクオリティは十分出せると思います」(田中氏)
【事例4】案件進ちょく管理をしてくれる「AI社員」
「案件管理アプリ」は、製品の受注から納品、請求書発行までの流れを一元管理する仕組みで、Claude Codeで構築した。従来は特定の従業員が現場を回りながら進ちょくを確認し、Excelに手作業でまとめていたが、多忙になると把握しきれないこともあった。アプリ導入後は、図面、納期、担当者、使用機械、材料の手配状況といった情報に加え、「未着手」「加工中」「完了」といった進ちょくステータスを一元管理できるようになった。現場の状況をリアルタイムで把握し、そのまま請求業務へとつなげる流れが整っている。
この仕組みと合わせて導入されたのが「AI社員」だ。毎朝8時になると、AIが案件ごとの進ちょくを整理し、担当者別のリストとしてメールで自動配信する。田中氏はこの仕組みを「AI社員」として位置付けており、社内では「明子」という名前で呼ばれている。導入当初はAIからメールが届くことに戸惑う声もあったというが、毎朝の定型業務として繰り返されるうちに、自然と受け入れられていくだろうと田中氏は見ている。
AI社員は進ちょく管理だけでなく、田中氏自身のメール整理にも活用されている。未読メールを確認し、重要度に応じて優先順位を付けることで、対応すべきメールが一目で分かるようになった。見積もり依頼など優先度の高いメールを上位に、対応不要なものは下位に振り分ける。「AIが間に入ることで、こんなに楽になるとは思いませんでした」と田中氏は話す。
さらに社内での活用にとどまらず、取引先への進ちょく報告などへの応用も検討している。現状は取引先からの電話による問い合わせが多いが、作業完了のタイミングで自動通知する仕組みができれば、対応工数の削減につながる可能性がある。
秘訣は「小さく試す」の積み重ね
田中氏の取り組みに共通するのは、最初から完成度の高いものを目指さない点にある。手間やコストをかけず、まずは試作する。その積み重ねが、現場で使えるアプリやツールを生み出してきた。現場の課題を一番知っているのは現場の人間であり、AIを活用することで、そのアイデアを素早く形にできる時代になった。
今後の構想として、田中氏はカメラとAIを組み合わせた作業記録の自動化に取り組みたいと考えている。現場にカメラを設置し、作業の様子を記録する。そこからAIが手順を抽出し、マニュアルとして整理する仕組みだ。
市販のカメラを活用すれば、低コストでの検証も可能だろう。「熟練職人の動きをデータとして残せれば、属人化しないようにできるかもしれません」と田中氏は話す。
小さく試して、次へ進む。田中氏のスタンスは、これからも変わらない。
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