- 2026/07/25 07:10 掲載
「失敗は恥ずかしい」はもったいない勘違い。AI時代に仕事で差がつく3つのルール
早稲田大学理工学部卒業後、プロセス改善コンサルティングファームを経て2009年に創業。100を超えるスマホアプリ開発などを行う中でデザイン産業の課題に直面し、いち早くAI技術の研究開発をスタート。2019年にAIを活用したクリエイティブ制作・改善サービス「AIR Design」をリリース。同サービスはのべ1000社・3000名以上に導入され、企業の業務フローと、個人の思考や働き方に根本的な変革をもたらしている。「ICCサミット KYOTO 2022 カタパルト X」優勝など起業・スタートアップ関連の賞を多数受賞。テレビやウェブメディアでも広く取り上げられ、1万人超への講演実績も持つ。現在は累計約24億円の資金調達を実施し、AI技術の社会実装を牽引している。
前編はこちら(※この記事は中編です)
AI時代に伸びる人が実践する「早く失敗、早く成長」
「早く失敗、早く成長」
こんな言葉を聞いたらどのように感じますか?
「失敗するなんて嫌だ」「失敗したからって成長するもの? どういうこと?」
そんな疑問をお持ちになるかもしれません。
実はこの言葉は私の会社のバリューの1つです。「Fail&Grow ~早く失敗、早く成長~」。「失敗思考」は会社のバリューに込めるくらい大事な思考法だと思っています。では、失敗思考とは何かを解説していければと思います。
失敗は「損失」ではない──行動する人だけが得られるもの
次の図を見ながら読み解いていきましょう。何か課題に直面した時に人は「成功」したいと思います。しかしながら、すぐさま直線的に成功にたどり着けるかというと、残念ながらそうではありません。
その成功にたどり着くためにまずは「仮説」を立てます。
「Aという方法を採用すればうまくいくはずだ」として仮説を立てて、実際に試してみます。その結果と仮説とを見比べてみます。試して実行する前はAという方法がうまくいくと思っていたが、仮にうまくいかないとします。失敗です。
ですが、ここで落胆せずに、この「失敗」を「Aがうまくいかなかったという学び」と捉えるとどうでしょう。これは「成長」になります。Aがうまくいかなかった学びから、次にBという仮説を立てます。それで試してみると成功した。
このように「失敗」を恐れずに「仮説→試す」を実施すると、「成功」か「成長」を得ることができます。とても「お得」な思考法が失敗思考です。「成功」だけを目指して「失敗」を恐れて行動ができなかったとすると、「成功」も「成長」も得られない結果になってしまいます。
AIの登場で劇的に下がった「試すコスト」
この「失敗思考(Fail&Grow)」のサイクル、実はAI時代になってその回転速度が劇的に変わりました。かつて、アナログの時代や、AI以前の時代において、「試す」ことには大きなコストがかかりました。資料を作るのに3日、試作品を作るのに1カ月。そうなると、失敗した時のダメージ(時間的・金銭的損失)が大きいため、どうしても失敗を恐れ、「一発で成功させたい」という「成功思考」にならざるを得ませんでした。
しかし、生成AIの登場でルールは一変しました。AIを使えば、資料のたたき台は3分で、アイデアのパターン出しは10秒で、プロトタイプのコードは瞬時に生成されます。つまり、「試すコスト」が限りなくゼロに近づいたのです。
これまでは1年に1回しかまわせなかった「仮説→試す→失敗→成長」のサイクルを、AIを使えば1日に10回、いや100回まわすことだって可能です。ここで重要になるのが、「成功思考」と「失敗思考」の決定的な差です。
AI時代において、失敗はもはや「恥」でも「損失」でもありません。単なる「データ収集」です。AI自身を見てください。AIは学習過程で何億回ものエラー(失敗)を繰り返しますが、落ち込んだりしません。ただ淡々と「あ、これは違うんですね。では次はこうします」とパラメータを修正し、賢くなっていきます。
私たち人間も同じです。
「AIを使って10個の案を出してみたが、9個はダメだった」これは9回の失敗ですが、同時に「この9個は違うという貴重なデータ」を、わずかな時間で手に入れたことになります。そして残った1個の精度を高めればいい。かの有名なユニクロ創業者の柳井正さんの著書でも『一勝九敗』というくらい、成功にたどり着くには失敗がつきものなのではないでしょうか。
このバリューは、AIという加速装置を手に入れた今、ビジネスパーソンにとって最も合理的で、最もリターンが大きい投資戦略なのではないでしょうか。失敗を避けるためにAIを使うのではなく、「より早く、より多く、より安く失敗して、正解へのルートを見つける」ためにAIを使う戦略です。
成功の反対は失敗ではありません。成功の反対は、「何も試さず動かないこと」です。AIを相棒に、恐れずに失敗のサイクルを高速で回し、成長という果実を誰よりも早く手に入れるのはいかがでしょうか。 【次ページ】「失敗思考」を仕事に落とし込む具体的な方法3ステップ
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