• 2026/08/04 06:50 掲載

物流は崩壊寸前…国交省・経産省・農水省が明かした「危機の正体」と「改革の中身」(2/2)

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【経産省】解決のカギに挙げた「フィジカルインターネット」

 こうした課題を解決する将来像として提示されたのがフィジカルインターネットだ。インターネット通信の考え方を物流に適用したもので、輸送容器の徹底的な標準化とデジタル技術の活用により、複数企業の物流資産をシェアしたネットワークで貨物を輸送する究極の共同輸送システムである。

 経済産業省と国土交通省はフィジカルインターネット実現会議を設立し、2040年を目標とするロードマップを策定している。

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2040年を目標とするフィジカルインターネットのロードマップ
(画像:経産省提供)

 業界別のワーキンググループとしてはスーパーマーケット、百貨店、建材・住宅設備、化学品、医薬品、家電の6分野が設置されており(2026年7月1日(水)第二回フィジカルインターネット実現会議にて自動車WGが新たに承認され、2026年7月現在7分野)、それぞれで取り組みが進む。また北海道を対象とした地域フィジカルインターネット懇談会では、2030年に道内で約3割の輸送力不足が見込まれていることから、共同輸配送の推進で積載率を50%まで向上させれば不足が解消するとの見通しが示されたという。

 最後に、物流拠点の自動化・シェアリング事例として、冷凍倉庫の従量課金サービスやEC物流向けの変動費型自動倉庫サービスを紹介した平林氏は「中小事業者でも活用しやすい形での物流インフラ共同利用が重要になってきます」と強調した。

【農水省】課題解決で注力する「施策4本柱」

 最後に登壇したのは、農林水産省 大臣官房新事業・食品産業部 食品流通課 物流生産性向上推進室 室長の丸田 聡氏だ。2024年4月に新設された同室の初代室長を務める丸田氏は、愛知県での行政経験も交えながら、人手不足とインフラ老朽化という農産物流通が直面する2つの課題を紹介した。

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農林水産省 大臣官房新事業・食品産業部 食品流通課 物流生産性向上推進室 室長 丸田 聡氏

 農産物・食品は輸送の96.5%をトラックに依存しており、主要産地の多くは大消費地から遠く離れている。長距離輸送が多く、ロットが直前まで決まらないため運行管理が難しい上、荷降ろし時間の集中による長い待ち時間、手積み・手降ろしの多さなど、物流事業者の負担が特に重い品目だという。

 こうした課題に対し農林水産省は、(1)パレット標準化、(2)デジタル化、(3)商慣習の見直し、(4)モーダルシフト・中継輸送の4本柱で対応を進めている。

 パレット標準化については、青果物・花き・水産物の各分野で流通標準化ガイドラインが策定され、全産業的なパレットの標準仕様などについて取りまとめられている。しかし農水省のドライバー向けアンケートでは、パレット積みの割合は約6割にとどまり、4割が依然バラ積みであることが判明したという。

 丸田氏は「現場を見に行くと、トラックに積む時にパレットから降ろしてバラ積みにしてる光景を見たりします」と語り、理想と現実の乖離を指摘した。

「パレット化の徹底には段ボールやトレーの規格見直しも必要ですし、場合によっては農産物の規格そのものを変える必要があるという複雑な課題でもあります」(丸田氏)

【農水省】いまだ続く「紙・FAX依存」対策

 デジタル化については、農産物流通の多くが依然として紙やFAXに依存しているという実態が紹介された。生産者から情報を集めてPCに入力し、そこから改めて紙やFAXで卸売市場に送るという二度手間が常態化しているという。

「生産者がスマートフォンで直接入力し、データが自動的に集計・連携される仕組みへの転換が進めば、集出荷団体の業務負担を大幅に削減でき、余力を農家への営農指導に当てられるようになります。このように、出荷情報を事前にデジタルで共有できれば、運送事業者も事前に必要な情報を把握できるようになることでしょう」(丸田氏)

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現場で進められているデジタル化の事例
(画像:農水省提供)

 商慣習の見直しについては、改正物流効率化法のCLO選任制度が発荷主と着荷主双方の意思疎通を円滑にすると期待されているという。

 丸田氏は、「この物流効率化法というのも、実は商慣習の見直しに非常に貢献する法律ではないかと考えています。農林水産省は2023年末に物流対策本部を設置しており、持続可能な食品等流通総合対策事業として段ボール規格変更やデジタル化対応にも活用できる予算を用意している」と述べ、講演を締めくくった。

 国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省が共通して訴えたのは、物流を単なるコストではなく持続可能な産業として再構築していくという方向性である。制度整備、中長期的な将来像の提示、そして現場レベルの実務課題まで、視点は異なるものの各省の施策は相互に補い合う関係にあった。2024年問題を1つの転換点として動き出したこの流れが、今後どのような成果へとつながっていくのか、3省連携の行方が注目される。

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