- 2026/08/14 06:20 掲載
資材高でもなぜ儲かる?鹿島・大林・大成・清水「全社増益」、決算で見えた意外な勝敗
上場ゼネコン大手4社 決算比較
全社増益でも「横並び」ではない、大手4社の異変
上場ゼネコン大手4社(鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設)の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)決算が8月7日に出そろった。うち3社が増収となり、営業利益は4社すべてが前年同期を上回った。さらに、単体の完成工事総利益、いわゆる工事の「粗利」も全社で改善。旺盛な建設需要を追い風に、「仕事はあるのに儲からない」というゼネコンのかつての苦境から景色が一変している。しかも、好調なのは大手4社だけではない。建設通信新聞によると、大手・準大手ゼネコン23社のうち連結営業損益は18社が増益となり、7社が過去最高を更新した。単体の完成工事総利益率を公表した23社では22社が前年同期を上回り、建築では21社中20社が改善。少なくとも大手・準大手では広範に「採算改善」が進んでいる。
背景にあるのは、単なる建設需要の増加だけでなく、受注時の採算管理や、施工中の資材高などを追加・変更契約による価格転嫁もある。
ただし、ここで「上場スーパーゼネコン4社とも絶好調」とひとくくりにするのは早い。実際に数字を横に並べると、売上高で最も大きい会社、営業利益を最も稼いだ会社、営業利益の増加率が最も高い会社は一致しない。そこに、現在の4社の収益構造の決定的な違いが表れている。
【4社決算比較】売上首位と「稼ぐ力」は別物
まず連結売上高で首位に立ったのは鹿島建設だ。鹿島の売上高は前年同期比1.5%減の6,400億円だった。4社で唯一の減収とはいえ、それでも売上規模はトップ。一方、営業利益は同7.8%増の405億円となり、営業利益率は約6.3%だった。施工量の少ない初期段階の建築工事が多かったことが減収要因となったものの、土木事業や海外関係会社の開発事業などで利益が増えた。
2位の大林組は、売上高が同19.0%増の6,234億円、営業利益が同107.0%増の327億円。4社の中でも利益の伸びが際立つ。国内建築・土木や海外土木で豊富な手持ち工事が進んだことに加え、米建設会社GCONの連結組み入れも増収に寄与した。営業利益率は前年同期の3.0%から5.2%まで上昇している。同社は、不採算だった国内建築案件の多くがおおむね竣工し、採算性の良い案件の寄与が高まったとしている。
一方、「稼ぐ力」で存在感を見せたのが大成建設だ。売上高は同18.4%増の5,212億円、営業利益は同15.3%増の453億円となった。営業利益額は4社で最大で、売上高営業利益率も約8.7%と最も高い。ただし、営業利益率は前年同期の約8.9%からは小幅に低下。豊富な期首手持ち工事の消化に加え、グループ入りした東洋建設の連結効果も売り上げを押し上げた。
清水建設は売上高が同9.3%増の4,828億円、営業利益が同11.8%増の193億円。営業利益率は約4.0%となった。ただ、経常利益は557億円と約3倍、純利益は553億円と約5倍に膨らんでいる。これは清和綜合建物を持分法適用関連会社としたことに伴い、負ののれん相当額約355億円を持分法による投資利益として計上した影響が大きい。清水建設は経常利益と純利益の通期予想を上方修正したものの、売上高と営業利益の予想は据え置いた。したがって、本業の「稼ぐ力」を比較するなら、純利益だけで4社の順位を判断するのは適切ではないだろう。 【次ページ】なぜ儲かる? 4社の利益を変えた「粗利率」の正体
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