- 2026/08/14 06:20 掲載
資材高でもなぜ儲かる?鹿島・大林・大成・清水「全社増益」、決算で見えた意外な勝敗(2/2)
なぜ儲かる? 4社の利益を変えた「粗利率」の正体
鹿島では単体の土木事業の売上総利益率が21.4%となり、建築も11.3%を確保。同社は土木・建築とも前年同期から利益率が向上したと説明した。
さらに変化が分かりやすいのが大林組だ。同社の連結完成工事総利益率は前年同期の9.8%から11.1%へ上昇。単体では建築が9.5%から11.4%、土木が12.6%から13.2%へ改善した。工事損失引当金を計上していた案件の多くがおおむね竣工し、採算性の良い案件の寄与が高まっている。
大成建設でも、大型工事を中心として発注者との交渉を進め、物価上昇分を契約金額へ反映する「物価スライド」の獲得に成功したことで、建築の採算が改善したという。
ここは今回の決算を読み解く上で重要だ。建設会社にとって資材高は必ずしも「利益減」を意味しなくなりつつある。値上がり分を価格へ転嫁できる交渉力、そして最初から利益の出る案件だけを選ぶ受注力が、収益性を左右する時代になったとも考えられる。
清水建設でも国内建築・土木工事の進捗に加え、手持ち工事の利益改善によって建築・土木の完成工事利益率がともに大きく改善した。つまり4社に共通するのは、単純な「建設バブル」の恩恵ではない。不採算案件の処理、受注選別、価格転嫁、追加契約という数年前からの地道な採算改革が、現在の好決算として表面化しているのである。
ゼネコンの好業績は続く? 今後を左右する「3つの条件」
ゼネコンの好況が続く1つ目の条件は高採算の受注を維持できるかだ。仕事が多いからといって施工能力を超えて受注すれば、人員不足や外注費の上昇を招き、再び採算が悪化しかねない。現在の利益改善を支えているのは、何でも受注する姿勢からの転換でもある。この規律を崩さないことが重要になる。
2つ目は施工能力そのものの確保である。鹿島も最新決算で、国内建設市場では労務需給のひっ迫に加え、一部の原油由来製品で価格上昇や出荷制限の動きがあり、適切なコスト管理と施工体制の確保が課題だとしている。仕事がないことよりも、「仕事はあるのに人が足りず施工できない」という問題が成長の上限になる可能性がある。生産性向上や省人化への投資は、コスト削減策ではなく売上高を伸ばすための経営戦略になりつつある。
そして3つ目がM&Aを含む事業基盤の拡大だ。今回の1Qでは、大林組でGCON、大成建設で東洋建設の業績が上乗せされ、M&Aの効果がすでに数字に表れた。一方で、大林組は豪Multiplexの子会社化を決定し、買収手続きを進めているなど、大手ゼネコンの競争は国内の建設工事だけでは測れなくなっている。施工能力、海外事業、不動産開発など、利益源をいかに複線化するかが次の焦点となる。
今回の決算だけを見れば、売上高では鹿島が首位、営業利益と営業利益率では大成建設、営業利益の前年同期比増加率では大林組が目立った。清水建設も本業の利益を着実に伸ばしている。
ただ、本当の勝負はこれからだ。旺盛な需要の下で、高採算案件を確保し、コスト上昇を契約価格へ適切に反映し、限られた人員で施工を進められるか。今回の1Q決算からは、受注量だけでなく受注採算や施工能力の管理が収益性を左右する構図が、より鮮明になったと言えそうだ。
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