- 2026/08/19 12:45 掲載
セレブラス、エヌビディア牙城に挑む新型AI機…推論速度はGPU比最大30倍
中核となるWSE-3Tは、一般的な半導体のようにウェハーを多数の小さなチップへ切り分けず、巨大な1枚のプロセッサとして利用する。1基に4兆個のトランジスタと90万個のAI向けコア、44GBのSRAMを搭載。演算性能は1基当たり250PFLOPS、メモリー帯域幅は毎秒43.2PBに達するという。
セレブラスが強みとして打ち出しているのが、生成AIの「推論」の速さだ。GPT-OSS-120Bに同一のプロンプトを与えた同社の比較では、CS-4は1ユーザー当たり毎秒4,400トークン超を生成した。ただし、実際の処理性能はモデルの構造やコンテキスト長、精度、提供構成によって変わるとしており、「最大30倍」は特定条件に基づく比較値である。
米ブルームバーグの報道によると、セレブラスはサンフランシスコで開いたイベントでCS-4を実演し、エヌビディア製プロセッサを使った代替システムよりAIの出力を数倍高速に生成したとしている。現在は少数の顧客がCS-4を試しており、第3四半期末までに、より幅広く提供する計画という。セレブラス自身も初回出荷を今四半期に始めるとしている。
高速化を支えるのはプロセッサだけではない。CS-4では電源、冷却、I/Oを含むシステム設計を刷新した。コンピューティング部分を着脱可能な「Wafer-Scale Backpack」とし、前世代に比べ部品数を50%削減。電力変換機構をプロセッサから約0.5ミリの位置まで近づけ、WSE-3Tへの供給電力を従来の2倍に増やしたとしている。
こうした設計には供給面での狙いもある。アンドリュー・フェルドマン最高経営責任者(CEO)は、新設計によってアップグレードや外部システムとの接続を容易にしたと説明する。セレブラスのシステムは供給が逼迫するメモリーチップへの依存度が低く、より広く利用可能な製造技術を使えることも、増産を進める上での利点としている。
競合するエヌビディアも推論性能の引き上げを続けている。「GB300 NVL72」は72基のBlackwell Ultra GPUと36基のGrace CPUを1つのラックスケールシステムに統合し、AI推論やリーズニング処理の高速化を狙う。エヌビディアはGPUだけでなく、ネットワークやソフトウェアまで含めた巨大なAI基盤を展開しており、CS-4とは設計思想も性能評価の条件も異なる。
セレブラスの技術はすでに大規模AIモデルにも採用されている。米オープンAIはGPT-5.6 Solをセレブラス上で最大毎秒750トークンで提供すると発表。GPUを中心に発展してきたAIインフラ市場で、ウェハースケールという異なるアプローチがどこまで利用を広げられるかが焦点となる。
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