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  • 2021/10/27

Webエンジニアやネットショップも、企業の“年齢バイアス”薄れてシニア大活躍のワケ

最新のシニアワーカーの働き方は驚くほど多様化している。筆者が代表をつとめるシニアジョブとクラウドワークスが共同開催したシニアの働き方を予測するイベントの中で、私は主催者でありながら、驚くべき現実に遭遇することとなった。イベントで語られた内容は本当なのか。シニアのITフリーランスやネットショップオーナーに追加取材し、これからのシニアワーカーがどう変わるのかを探った。

シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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クラウドワークスとシニアジョブが共催したイベントで主催者も驚くシニアの活躍が紹介されたので追加取材した

私もシニアIT人材の活躍はまだ先と思っていた

 私たちシニアジョブは9月9日、クラウドワークスさんと、あるイベントを共同開催した。それは、シニアワーカーの変化について発表するというものだった。

 コロナ禍はシニアに限らず多くの人の働き方や経済、社会までも大きく変化させた。今年4月には70歳までの就業機会確保を企業の努力義務とする法改正もあったため、シニアワーカーのこれからの働き方は大きな変化が訪れる転換点となった。

 しかし、実際シニアワーカーに起きている変化は、私の知識以上に大きく、急激なものであることを、私は自分が共催し登壇しているイベントで知ることになった。

 それを教えてくれたのが、私と一緒に今回のイベント「アフターコロナ、シニアの働き方を予測~“やわらかシニアワーカー”の台頭~」に登壇した、クラウドワークス執行役員兼クラウドテック本部長の中山恵太氏(以下、中山氏)だった。

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クラウドワークス執行役員 兼 クラウドテック本部長の中山恵太氏

 私はシニア専門をうたう人材紹介会社を経営し、本連載も続けるなど「シニア就労のプロ」を自認していたが、中山氏からなされた「Webエンジニアを中心とするITフリーランスにおいて、シニアの活躍が伸びている」という話は、もう少し未来の話になると思っていたのだ。

 イベントの終盤、中山氏は「これまで企業にあった“年齢バイアス”が2020年頃から薄れ、今後はさらに無くなっていくだろう」という話をされていたが、私自身、たった1年程度の時間差であるが、ITの分野においてはこの“バイアス”のような古い情報から更新されていなかったことに気がついた。

 そこで今回、私と中山氏が共同イベントで講演した内容に加え、改めて中山氏が本部長を務めるクラウドテックへの取材を行い、さらに、近年同様にシニアのネットショップ出店者が増えているというBASEでネットショップを開設しているシニアの方にも、社員やフリーランスとは違ったシニアの仕事のかたちを取材し、「多様化する新たなシニアの働き方」に追った。


ITの仕事で年齢が意識されない意外な理由とは?

 まずは、上記でも触れたクラウドワークスのWebエンジニアやデザイナーを中心としたフリーランス向けマッチングサービスであるクラウドテックにおいて、シニアITエンジニアの活躍が増えていることについて見ていこう。

 中山氏は共催したイベントの中でも、ITエンジニアへの状況についてこのように述べていた。

「2019年ぐらいまでは、やはりまだシニアへの“バイアス”が非常に多く、馴染めないかもしれない、新しい知識を受け入れてくれないかもしれない、若い人とうまくやれないかもしれないといった話が非常に多くありました。しかし、2020年以降、特にコロナ禍によってジョブ型の考え方が進んだ結果、(中略)年齢よりスキル重視で探したいという企業が非常に増えてきたと感じています。結果、ここ1~2年ぐらいで、あまり年齢のことを言われない環境に変わってきたと感じています」

 私の認識としても、2019年頃までITの領域でのシニア人材の需要は、他の業界と比較しても少なかったように記憶していた。そこで改めて2019年以前の状況を中山氏に尋ねてみた。

 すると、やはりかつては45歳までの年齢制限などがあり、シニアNGの企業も多く、それに対して年齢ではなく案件成功に必要な条件が何であるのかを一つずつ対話を通じて認識をすり合わせていったという苦労話を聞くことができた。こうした努力を重ねていたところにコロナ禍が重なり、企業側の年齢バイアスが少しずつ薄れ始めたようだ。

 以前は年齢へのバイアスがかかっていた企業側の視点はどう変わったのか?中山氏からはイベントの中で「育成前提の若手採用ではなく、仕事のスキルセットに合った方を採用したい」、「これまでの頑固なイメージではなく、豊富な経験があるからこそ、あまり全部説明しなくてもむしろ柔軟に対応してくれるので、シニアがほしい」といった、年齢バイアスを拭い捨て、スキル重視で豊富な経験を持つシニアITエンジニアを高く評価する、新たな企業の視点が紹介された。

 クラウドテックでは実際、マーケターやエンジニアといったIT人材が2020年以降、続々とマッチングしているという。追加で取材を行ったところ、60代のベテランエンジニアがこれまでの経験を活かしてIT技術講師としてマッチングした例や、自身でも会社経営経験のある61歳のマーケターが通販会社のSNSマーケターとしてマッチングした例を聞くことができた。最高齢のマッチング事例は、2021年にマッチングした62歳のIT人材だという。

IT人材のシニアの業務マッチングで注意すべき2つのポイント

 このようにコロナ禍や法改正がむしろ追い風になった感すらあるシニアITフリーランスのマッチングであるが、注意が必要なこともあるという。

 そのひとつが健康面だ。クラウドテックでのマッチングは社員として雇用されるのではなく、業務委託の関係にあるフリーランスだ。そのため、健康面などはフリーランス本人の自己管理となる。複数社と契約して休日を設けずに働き通すという選択肢も選べるが、シニアとなって体力が落ち、病気のリスクも高まる中では自身の健康管理と慎重さは若い頃よりも必要となるだろう。

 また、スキル・経験が重視されるということは、それがなければ評価されないということであり、知識や技術をキャッチアップするための自己学習が必要となることにも注意が必要だ。

 フリーランスでは得意な分野で活躍でき、さらにその経験・スキルを洗練しやすい一方、未経験や経験の乏しい分野ではそもそも案件の受注が難しいため、あらかじめ自己学習が必要となる。時には希望よりも安い金額の仕事でも、技術習得に重きを置いて引き受ける判断が必要な場面もあるという。

 ご一緒に登壇したイベントと、追加取材の両方を通じて最も印象に残った中山氏の言葉は、「IT系企業の場合、仕事のコミュニケーションの大半がチャットで行われるため、相手の年齢を意識しない」というものだ。

 IT系企業ではコロナ禍によってさらにリモートワークが進んだ上、SlackやChatworkといったビジネスチャットでのコミュニケーションが多い。さらにビデオ会議でもカメラオフということも少なくなく、顔を突き合わせて仕事をする機会そのものが少ないために、年齢が意識されにくいというのだ。

 クラウド上でのコミュニケーションはシニアが苦手とするようなイメージがあるが、それ自体がバイアスでしかないことは、エンジニアのシニアに限らず一般のシニアでも難なくLINEやZoomに対応している様子を私も見てきている。

 仕事の情報や成果がクラウド上でやり取りされ、年齢のバイアスを生じにくいエンジニアの仕事環境は、コロナ化を経たことで、他の職種のシニアにも急速に拡がっていくのかもしれない。

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