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  • 2023/05/18 掲載

自動運転でトラックドライバーはどうなる? 次の職が見当たらない“厳しい未来”とは

連載:「日本の物流現場から」

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自動運転が実現したら、トラックドライバーはどうなるのか?──運送会社経営者や政府に問いたい。2023年1月、自動運転下での荷役等を補助する「自動運行従事者」の法的位置づけの検討が開始され、2023年4月1日には、自動運転レベル4を社会実装するための改正道路交通法が施行された。少しずつではあるが確実に自動運転社会の実現が近づいている。一方で、主に運転業務を担うトラックドライバーは仕事を失うかもしれない。筆者は、そうしたトラックドライバーのセカンドキャリア構築がおざなりにされている現状を憂いている。

執筆:物流・ITライター 坂田 良平

執筆:物流・ITライター 坂田 良平

Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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自動運転が実現した後のトラックドライバーのセカンドキャリア形成を議論せよ
(Photo/Shutterstock.com)

ドライバーとは異なる「自動運行従事者」

 2023年4月1日、自動運転レベル4を実施するための要件を規定した改正道路交通法(道交法)が施行された。自動運転レベル4とは、運行地域や天候など、特定の条件を満たした場合に、ハンドリング操作、ブレーキ操作、危険回避等の運転操作を、すべて自動運転システムが担うものである。ちなみに、自動運転レベル5は、いつでもどこでも自動運転を良しとする、言ってみれば「完全なる自動運転」を指す。

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自動運転が実現したらトラックドライバーはどうなるのか
(Photo/Shutterstock.com)

 自動運転トラックの実現に向け、自動運行従事者という職務の検討も開始された。

 2023年1月に発表された「自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会 報告書」において、自動運行従事者は「輸送の安全確保の観点から、運送事業者の従業員のうち、運転者が行っていた運転操作以外の業務を行う者を『自動運行従事者(仮)』として法令に位置づけ」するとされている。

 同報告書における自動運行従事者の要件について、主要なものをピックアップしよう。

  • 「自動運行従事者」は、乗車し、または遠隔から業務を行う。

  • 運送事業に用いる自動運転車が特定自動運行を行う間、「自動運行従事者」は運転操作を行わないことから、運転者に対して行う「酒気帯びの確認」や「自動車運転免許の保持」は求めない。

  • 「自動運行従事者」が、道路運送法/貨物自動車運送事業法体系の運行管理者、整備管理者、道路交通法体系の特定自動運行主任者、現場措置業務実施者の業務と兼ねることは可能である。

  • 自動運行車両の運行に係る運転操作以外の業務を確実に実施できる自動運行従事者の員数を確保する必要があるが、自動運転が実施される運送の形態、道路状況、車両の仕様などにより異なるため一律に問わない。

 この議論は、旅客と貨物双方を縦断して行われている。また、報告書では自動運行従事者を保安要員として位置づけている。

「自動運転=トラック輸送の自動化」ではない

 貨物輸送に限って言えば、自動運行従事者に求められる責任として報告書で挙げられているのは以下である。

貨物を安全に輸送するため、「偏荷重が生じないように積載すること」や「貨物にロープやシートをかけること」。あるいは、輸送中に貨物が落下する危険がある場合には、適切な対応を取ること。

 勘違いされがちだが、トラックドライバーの仕事は運転だけではない。運転と並ぶドライバーの重要な職務は、貨物の積み卸しなどの荷役であり、ほかにも、集荷先・配送先での受付業務(伝票処理を含む)など、貨物輸送の円滑な遂行のためにドライバーは多くの責任を持つ。

 「運転の自動化」がイコール「トラック輸送の自動化」ではないことは強調しておきたい。

 荷役の自動化、すなわち貨物積み卸しの自動化は、基本的には集荷先・配送先が準備することだ。だが、すべての集荷先・配達先が自動荷役機器を導入できるかと言えば、それは無理である。なぜならば、物流ロボットなどの自動荷役装置は総じて高価であり、費用対効果の観点から導入できない集荷先・配送先もあるからである。

 また宅配を担う無人配送ロボットについては、基本的に、配送先の住民がロボットの到着通知を受けて、住民自身でロボット内の貨物スペースを解錠、貨物を受け取る仕組みになっている。だが、たとえば足の不自由な高齢者に宅配するものや、家具・家電といった重量のあるもの、あるいは設置・据え付けが必要なものにおいては、人の手による作業やケアが必要となる。

 自動運転・無人運転が実現したとしても、ドライバーが不要になるわけではない。ただし、自動運転技術の発展と、自動運転トラック、自動荷役機器の普及とともに、徐々に、しかし確実にドライバーのニーズが減っていくのは確かだ。

 では、自動運転トラックが実装された社会において、“元”ドライバーのための、自動運行従事者以外のセカンドキャリアは何が考えられるだろうか。 【次ページ】ドライバーは「次の職」に就けるのか?

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