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- 2023/02/24 掲載
「モノが届かない」ヤバい現実…物流の2024年問題で“もっと最悪”な事態が訪れる?
連載:「日本の物流現場から」
AmazonなどのECで遅配が多発するワケ
2022年12月23日、筆者はAmazonで買い物をした。注文時に示された配達予定日は12月25日だったが、翌日、Amazonの購入履歴に表示された配達予定日は、12月28日だった。だが実際には、商品は12月25日、つまり当初の予定通り配達された。なぜこういうことが発生したのか。Amazonを取材したわけではないので、以下はあくまで筆者の推測である。
- 12月23日の注文時点では、あらかじめシステムで設定された「注文翌々日の配達予定」が表示された。通常のような翌日配送でなかったのは、繁忙期であることを鑑み、あらかじめ設定されたバッファの可能性がある。
- 注文翌日、配達予定日を3日も後ろにずらしたのは、23日(あるいはその前後)の注文が予想よりも多く、配達に時間がかかる可能性を考慮した可能性が高い。
- 結果、当初の予定日に配達が行われたのは、配達を担うデリバリープロバイダー(Amazonの配達を担う運送会社)が、配達量の多さにもめげず、「頑張ってくれた」から。
Amazonに限らず、多くのECサイトでは、販売時に在庫を確認する仕組みはあっても、配達リソースを確認する仕組みはない。だからモノがたくさん売れれば、配達は自ずと遅れることになる。
普通とは異なる「ECの商習慣」
もちろん、こういったことが起きないように、あらかじめ配達リソースを確保し、配達日を確定した上で販売が行われるケースもある。たとえばクーラーや家具などの場合、設置や工事が必要となるため、家電量販店などでは販売と同時に配達(工事)担当者のスケジュールを確認した上で、原則として販売時に配達日を確定させる。スーパーマーケットでの購入品のお届け、買い物代行サービス、あるいはネットスーパーなども、配達日(配達時間)を確定させるために、販売時に配達リソースの確認を行う。
上記のケースでは、いずれも確実に配達できなければ問題が生じる。そして、お客さま(購入者)の元に商品が届かなければ、売り手側は売上を確定することができない。だから、販売と同時に配達リソースを確保するわけだ。
ところが、ECの場合は、顧客の注文確定と同時に配達リソースを確保することはない。また顧客から販売者に対する支払いが成立するのは多くの場合、商品が販売者の物流センターから出荷された時点である。ここに大きな課題がある。というのも、支払いが成立した時点では、商品はまだ顧客の手元にないからである。これは、通常の商慣習とは異なる。
だから、注文後に配達予定日が勝手に変更されるという事態が生じる。だったらEC事業者は、もっと「商品を顧客の手元に届ける」ということに責任とプライドを持つべきである。
商品購入時にしっかりと配達リソースを確保し、間違いなく配達予定日に商品を顧客の手元へ届けるべきだ…と言いたいところなのだが。実はこれがとても難しい。 【次ページ】配達リソースを確認できない2つの事情…2024年はどんな事態に?
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