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- 2023/06/21 掲載
2年後にドライバー20万人不足…「夢のない仕事」から脱却できる物流業界の新潮流とは
物価高騰でも“値下げ要求”される運送会社……
本連載でこれまでも紹介してきたとおり、トラックドライバー不足が年々深刻化している。鉄道貨物協会によると、2025年度には20万8436人、2028年度には27万8072人不足すると見られており、有効求人倍率も全職業の1.49に対し、貨物自動車運転手は2.79だ。このままではモノを届けられなくなり、持続可能な物流を維持することはできないだろう。
それに加えて、物流業では2024年問題を目前に控えている。時間外労働の上限規制が適用されるようになると、残業代に頼ってきたドライバーはその収入を得ることができない。そうなれば、ドライバーの離職が相次ぐことが予想される。低収入では仕事の魅力がなく、若い人材も入ってこない。
運送会社にとっても、人材難で輸送リソースが縮小し、収入の減少が見込まれる。
一部で運賃値上げの動きも見られるが、その逆の動きも目につく状況だ。これは物価高騰などで利益が圧迫されている荷主企業が、立場の弱い運送会社に対し値下げ要求をしているといったことに起因するものだ。
物流業界で注目される「シン・物流」とは?
先述のとおり、物流企業は、ドライバー不足に伴う賃金上昇や燃料費の高騰などで利益が圧迫される半面で、それを補うだけの運賃アップを交渉できていない。これでは、物流事業単体で儲けを確保することは難しく、ドライバーを確保することも、長期的な成長戦略を描くこともできない。こうした中で、物流企業が低空飛行から脱却するには、物流業務にとどまらずその周辺領域で取り組みを開始する、あるいはまったく異なる産業に進出するなどを通して、物流に新たな付加価値をつけることが不可欠なのだ。
事実、中小物流企業の経営者からそうした取り組みへの関心が急激に高まっている。こうした物流にプラスαの事業・取り組みを開始する新たな潮流を「シン・物流」と筆者は呼んでいる。
筆者の会社・グループでは、物流が主軸の会社でも、倉庫や荷物のニーズをマッチングするなどして、収益を伸ばしている。しかし、物流業者の経営陣が異口同音に口にするのが「うちは運送(または物流)会社だから、不動産会社のような事業はできない」だ。
関心はあっても、その一歩を踏み出せていないのが現状と言えよう。しかしこうした中でも、物流業界にはあらゆる産業からの参入が相次いでいる。近い将来、既存の物流企業に代わり新規参入してきた企業が物流業界の中心を担うと指摘されているが、その前兆はすでに始まっているのだ。 【次ページ】物流企業が注目すべき「プラスα事業」とは
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